2008年5月31日土曜日

ボルボの雑誌広告。

本日は「ボルボ」のクレージーなグラフィック広告事例。



サイドミラーにボルボが、ひき殺してしまった「死神」が
映っていることで「死」とは無縁な「安全な車」であることを訴求。

自動車の広告表現に「事故現場」はタブーですが、
「死神ならひいちゃってもOKでしょ」的な
良くも悪くも乱暴な割り切りが「表現パワー」を
生んでいる様にも思えます。

2008年5月30日金曜日

遊園地内でのOOH。

本日は遊園地の園内で掲出されたかなりクレージーなOOH事例。



看板の中央には「危険なので安全バーを下ろしてください」と
書かれています。そして看板上部にはぐったりした「人間型オブジェ」。
つまり「ジェットコースター」などに乗った時に
「安全バー」をしっかり手前に下ろさないと、この男の様に
「吹き飛ばされますよ」ということを訴求しています。
かなりクレージーなOOH事例。

2008年5月29日木曜日

JAGUARの挑戦的な広告。

本日はJAGARの挑戦的な表現事例。



画像が小さくてわかり辛いですが「ベンツ」の持ち主が
ジャガーに嫉妬して「カギ」で車体に傷つけるというもの。

2008年5月28日水曜日

トラック運転手のための雑誌。

本日は「トラック運転手向け」雑誌の超マニアックなOOH事例。





トラックは車高が高いから、ほとんどの自動車の天井を
見下ろせるという点を利用したOOH事例。

なんつーコンタクトポイント(広告接点)だよって感じですよね。
しかし狭い感じがしますが結構効果がありそうな気もします。

くだらないですがメディアインサイトに満ちた事例だと思いました。

2008年5月27日火曜日

やせるOOH。

本日は「フィットネスクラブ」のトレーニングマシーンを
活用した「伸びるゴム製OOH」事例。
商品は「ケロッグ」の「ダイエット系シリアル」。



肩の筋肉を鍛えるマシーンのバーを上に持ち上げると共に
ゴムにプリントされた女性のビジュアルが縦長になって
「やせた様に見える」というもの。

フィットネスクラブなど「閉じた空間」での広告は
一歩間違うと「うっとおしく」なり兼ねない気がしますが、
この事例の様に「ユーモア」があれば受け入れられる可能性は
上がる気がします。

2008年5月26日月曜日

かなりスゴイ「バナー広告」。

本日は2004年度の 「東京インタラクティブ・アド・アワード」を
受賞されている「公共広告機構」のかなりスゴイ「バナー広告」事例。

とても有名な事例ですのでご存知の方も多いかと思いますが、
改めて見ても凄い事例だと思いますのでご覧頂ければと思います。

まずは以下のアドレスに飛んで試して頂けますか。

飛んだ先では、画面「上部」の「横長バナー広告」に
「Grip to drive.」と書いてある部分をクリックしっ放しにして
マウスを左右に動かして自動車を運転してみて下さい。

↓ClickHere!

http://www.interactive-salaryman.com/pieces/driver_j/win.html



単純にビックリしませんでしたか?

この事例の様に「受け手」に「罪悪感」を抱かせる広告手法は
インタラクティブメディアの真骨頂であると思いますし、
もっとこの様な事例が増えてもイイなと思いました。

2008年5月25日日曜日

血液の募金箱。

本日はグッズ型のOOH事例。



お金だけでは不十分で「献血をぜひともして欲しい」
という点を「血液」が入っている「募金箱」で訴求。

2008年5月24日土曜日

カゲを活用したOOH。

本日は「フォルクスワーゲン」コンバーチブル(オープンカー)の
太陽の光を利用したOOH事例。




晴れた日には「日光」を利用した「カゲ文字」が地面に
映ることで「今日は(コンバーチブルにとっては)ドライブ日和」
であることを訴求。当然ですが「ドライブ日和ではない」
雨の日などには現れないという、
かなりクリエイティブなOOH事例。

2008年5月23日金曜日

ユニークな角度の視点。

本日は経済雑誌「The Economist」の
かなりクリエイティブなOOH事例。



コピー「Unique perspective.」
    (独自の視点で)

 
おわかりかと思いますが「遠近法」を無視して
手前から見て奥側の「横幅」が広くなったデザインにより、
(「真上」から見ると「台形」)
ロゴが「正方形」に見えるというもの。

若干わかりづらい表現かもしれませんが、
かなり独創性が高いOOHであると思いました。


【おまけ】
先日取り上げた「放置自転車メディア」ですが・・・



「撤去警告」が出されていました。

2008年5月22日木曜日

吸引力が強いOOH。

本日は「吸引力が強い掃除機」の超変則OOH事例。




はるか上空にある「熱気球」や「人工衛星」まで
吸い込んでしまうほど「強力な掃除機」であることを訴求。

もしこのOOHを街で見かけたら永遠に忘れない広告に
なると思われます。

2008年5月21日水曜日

襲われるハイネケン。

本日は、頭痛がするほどくだらない
「ハイネケン」のグラフィック広告事例。



路地裏で「せんぬき」が待ち伏せしており、
何も知らずに歩いてくる
「ハイネケン」を襲おうとしています。

この広告を考えた人は、
本当のバカなんじゃないかと思いますが、
バカな広告の方が好感度を生みやすい場合も
結構多い気がします。

2008年5月20日火曜日

インサイトフルなCM。

本日は先日発表された「One Show」という海外の広告賞で
金賞を受賞したTide「シミとりペン」のTVCM事例です。





このCMにおけるインサイトは、
「服にシミがついていると、話し相手にとっては
 何を話されても(シミが気になって)話に集中できない」

という点であると思います。

この商品における「真の購入動機」は、
「商品特徴」や「機能ベネフィット」ではなく、
「他人の目」を顕在化させるという「社会価値」の
周辺にあると思われます。

そのインサイトを「しゃべって話をジャマする」“シミキャラクター”
に置き換えて印象的に訴求しています。

このCMは、ただ単にシュールでふざけたCMではなく、
「真の購入動機」に踏み込んだ上で、その訴求点を
「事件」にしている「エフェクティブな表現」だと思います。



タグラインは「SILENCE THE STAIN,INSTANTLY」
(シミをただちに、だまらせます)

CMのラストでWebに誘導していますが、
こちらもかなり面白くて、CMとのシナジーを
生んでいると思います。

↓CliCKHere!
http://mytalkingstain.com



Webコンテンツのひとつ
「Be the Stain(シミになろう)」


自分や知人の顔写真を取り込んで
「実際にシミになることが出来る」という
くだらないけどちょっとやってみたくなる
Webコンテンツにより
キャンペーンに立体的なふくらみを持たせています。



一見ビジネスと直接関係無さそうな「くだらなさ」という要素が
キャンペーンに積極的に関与したい気持ちを
生んでいる感じがします。

情報飽和社会におけるコミュニケーションにおいては、
「くだらなさ」がマーケティング上、かなり重要な
武器になると思われます。

このCMの商品である「Tide」は、
世界でもトップクラスのマーケティング力をほこる
P&G(プロクター&ギャンブル社)のブランドです。

P&Gは3年くらい前に100人以上の社員を
カンヌ国際広告祭に派遣されたそうです。

「くだらなさのマネジメント」を
真剣に考えなくてはいけない時期に
差し掛かっている様に思います。

2008年5月19日月曜日

「AIR免震」ナゾのバイラルCM。

本日は、謎が謎を呼ぶ「AIR免震」のバイラルCM事例。
まずはとにかく以下の映像ご覧頂けますか。



この映像は偶然発見したんですが、
どうやら今年の3月頃に世に出ているようでして
その割にはほとんど視聴されてないみたいですが、
個人的には結構ぶったまげました。

初めて見た時「絶対にウソだ!」「ステルスだ!」と思って、
すかさず検索してみたら驚くことに本当だったようです。

【AIR免震<じしん満々浮太郎>ホームページ】
↓ClickHere!
http://www.airmenshin.jp/

商品的にもかなり斬新だと思いますし、
しかも価格が妙に安いんです。
キャッチコピーもイイ感じでくだらないですし。

【AIR免震ホームページより抜粋】


しかも上記の映像以外にもう1本かなりシュールな感じの
「長尺ムービー」までありましたのでご覧いただけますか。



ある意味オチが「シックスセンス」的なところが
イイ感じでわけがわかんなくて、ちょっと好きです。

この2本の映像だけでは、どこまでが確信犯なのかが
ちょっとわかりづらいですが、今後も「AIR免震」を
注意して見ていきたいと思います。

2008年5月18日日曜日

驚愕のスイーツ「チーズケーキパフェ」。

本日は広告と1mmも関係ない「チーズケーキパフェ」の事例。




こんな強引で乱暴なスイーツは後にも先にも見たことがありません。

2008年5月17日土曜日

サラサラヘアー雑誌広告。

本日は髪がサラサラになる「ヘアジェル」の雑誌広告事例。



「ライオン」で「サラサラ感」表現することで、
なぜか人間のモデル以上に「サラサラ感」が
伝わってくる感じがします。

2008年5月16日金曜日

メディアニュートラル⑤

メディアニュートラル特集、最終日の本日は
「テクノロジー」と「メディアニュートラル」という
2つの要素を融合させた最先端の広告会社
「R/GA」の事例です。

「R/GA」の詳細に関しては以前このブログで
取り上げさせて頂きましたのでお手数ですが
そちらを見て頂いて(「ブログのアーカイブ」の
2007年の左隣の「▲」をクリックして次に
8月の左隣の「▲」をクリックして「新しい広告会社R/GA」
をクリックしてください)

今回は「R/GA」が昨年カンヌ国際広告祭で
「チタニウムライオン」を受賞した「NIKE+」の事例および
そのクリエイティブブリーフ(簡易版)を取り上げます。

かなり有名な事例ですので、ご存知の方も多いかと思いますが、
この「NIKE+」はナイキのシューズの中に特殊なパッドを入れ、
そのパッドが「アップル」の「iPod」と連携しており、
ランナー自身が走った距離などをヘッドホンから聞くことが出来たり、
Web上の「コミュニティ」で世界中のランナーたちと
つながったりすることが出来るという、これまでの広告の概念を
破壊する21世紀型の広告キャンペーンです。

【NIKE+】



↓ClickHere!
http://nikeplus.nike.jp/


このNIKE+のキャンペーンに関して、昨年「JAAA」が
海外の広告会社を視察した際に「R/GA」も訪問されていて、
そのレポートがJAAA会報に出ていたので抜粋させて頂きます。

【JAAAレポート2007No.596より抜粋】

◆ブランドの課題
・競合乱立市場においてNIKEのランニングシューズの
「選択性」が低下した。
・顧客を取り戻したいが新商品の投入だけでは困難な状況。
・そもそもランニングはNIKEブランドの原点なはず・・・。

◆ターゲットインサイト+ビジョン
・より良いランニングとは?ランニングの楽しい体験を
 もたらすブランドとして再構築が必要なのでは?
 多くの人が参加したくなる「ランニング体験の変化」を!
・では、楽しいランニングとは何か?
 ランニングの新しい楽しみ方とは?
・また、ジョギング中にiPodで音楽を
 聴きながら走るユーザーが多い。

◆企画
1)Technology⇒Data(iPod)×Interactive
  シューズにチップを装着し、自己記録を
  オンラインで活用して楽しむ。
2)Community⇒Social Networks on the Web
  世界中の仲間と、リアルでもバーチャルでも、
  共に競い協調し楽しむ。

◆結果
・ランニングを一人のものから、みんなで楽しむものに変えた。
・120万足以上のランニングシューズキットが売れ、
 さらに参加者も増加中。


以下のコメントも↓JAAAのレポートから抜粋。
生活者が主導権を握ったデジタル時代では、広告会社は
「広告をつくる」「メッセージをつくる」と思う意識
そのものが問題になるのであって、
生活者とエンゲージするための「トランスフォーム・ブランド」
をデザインすることが本流なのだと感じた。


個人的には「インサイト」を中軸にした
「メディアニュートラル」な広告提案をしていきたいと
思っており、どのメディアにも偏りたくないと思っていますが
とはいえ「デジタルテクノロジー」は21世紀型の
広告プランニングにおいてかなり重要な位置を占める気がしています。

2008年5月15日木曜日

メディアニュートラル④

メディアニュートラル特集、4日目の本日は
アメリカでメディアニュートラルの先駆的かつ代表的な
クリエイティブエージェンシーと言われる
CP+B(クリスピン・ポーター・ボガスキ)の事例です。

CP+Bに関しましては以前もこのブログで引用させて頂いた
日本実業出版社「アメリカの広告業界がわかれば
マーケティングが見えてくる」で、とてもわかりやすく
解説されていますので、一部抜粋させて頂きます。

アメリカにおけるBMW「MINI」の
キャンペーンのエージェンシーを選択する
競合コンペには15社が参加した。
その結果、フロリダ州マイアミにある
クリエイティブエージェンシーのCP+Bが、
他の有名なエージェンシーを抑え見事に獲得した。
CP+Bが選ばれた理由の一つは2000万ドル(24億円)
といわれるキャンペーン予算だろう。
まったく新しいブランドを立ち上げるにはかなり厳しい額だ。
これに対しCP+Bは草の根的アプローチで
キャンペーンを開始した。
全米ネットワークのテレビは使わずに、ビルボード、
ポスター、ウェブサイト上でのプロモーションビデオなどを
うまく組み合わせて使ったのである。
テレビを使わないというのは新車のキャンペーンとしては
かなり型破りであり大手のエージェンシーではできない発想だ。
莫大な媒体費をかけてテレビCMを流さなくても、
インターネットなら動画も見られるし、
その映像を映画館でも流した。
MINIのキャンペーンはターゲットを都会に住む
低予算でオシャレなライフスタイルを楽しむ若者層に絞った。
都会の若者はいま、どの企業にとっても重要なマーケットだ。
車のみならず、ファッション、音楽、スニーカー、
ソフトドリンク、ゲームなど、現在のアメリカで
急速に伸びているセグメントの需要の中心を占める層である。
このような顧客層にアピールするには、若くて才能のある
クリエイティブがいるエージェンシーを使う必要があった。


【スキー場のリフトにMINIを設置】


【MINIの「加速力」をアピールした変則OOH】


【MINIの「車体の小ささ」を逆手に取った変則OOH】
(デパートなどで子供が遊ぶ車のおもちゃのパロディ)


CP+Bに関してはこのブログで以前に取り上げておりまして、
右側にある「ブログのアーカイブ」の1月の左隣にある
「▲」をクリックして頂きますと
「クリスピンポーターボガスキー①~⑦」がございますので
見て頂けますと幸いです。

メディアニュートラル特集、最終日の明日は
現在、世界で最先端を行っている広告会社と言われる
「R/GA」の事例です。

2008年5月14日水曜日

メディアニュートラル③

メディアニュートラル特集、3日目の本日は
OOHを巧みに使用しているアップルiPodの
「OOH広告」の事例を取り上げたいと思います。

現在アップルの広告の大半を手がける
TBWAシャイアットデイ社は
1980年代前半に「アカウントプランニング」を
導入するにあたって、組織の壁を壊して
クロスファンクショナルな組織に変えたそうです。

その精神はメディア選定にも反映されていて
メディアニュートラルなエージェンシーの
先駆的な存在にもなっています。

そのシャイアットが制作した「iPod」の
OOH事例を通じてOOH広告の「価値」を
検証したいと思います。

ポイント①電車や市電ラッピングを多用
「動いている物」というのは、とかく人間の目が
止まりやすいと思います。
また乗り物のラッピング広告というのは、
ある意味「移動する看板」のようなもので、
一箇所に固定されている「屋外看板」よりも
リーチ数(広告接触人数)が大幅に稼げると思います。




ポイント②バス停留所などシティースケープ広告を多用。
最近、日本でもバス停OOHを見かける様になりましたが、
この媒体は、街の中において人間の目線の高さで
掲出できるので、非常に注目率や印象度が高いと思われます。




③前例が少ない変則的な媒体を活用
「工事幕」や「一般宅」など普段広告を見かけない場所に
広告を掲出するためインパクトがとても大きいです。






人間は、前例が無いものや初めて見るものに注目しやすいと
思いますが、同時に前例が少ないものというのは
成功するかどうかが未知数なので
勇気が必要だったりもすると思います。

しかしアップルは、そういった勇気がある媒体選定の広告を
多く実施しており、広告混雑(アドクラッター)に埋もれないで
競合他社との差別化がしっかり出来ている「メディア選定」を
しているとクライアントであると思います。

明日は、現在のアメリカで「メディアニュートラル」の
代名詞になっている「CP+B(クリスピンポーターボガスキー)」の事例です。

2008年5月13日火曜日

メディアニュートラル②

メディアニュートラル特集2日目の本日は、
メディアニュートラルの「阻害要因」に関してです。

まずは一見関係無い事例に見えるかもしれませんが、
世界で最も巨大な広告エージェンシーグループ
「WPP」のCEOで「サー」の称号をもつ
「マーチンソレル」氏に関して。

【Sir Martin Sorrell】


ソレル氏は元々イギリスの大手広告会社「サーチ&サーチ社」の
財務担当者をされていましたが1985年にWPPに入社。
ちなみにWPPとは「Wire & Plastic Product」の略で
驚くことに本来は「買い物カゴ」を作る会社であり(かなりシュール)、
その「広告と無関係」な「買い物カゴ会社」を拠点に
ソレル氏が中心となり次々と巨大な「広告会社」を買収を開始。
1987年にJWTグループ(旧JWトンプソン)、
1989年にO&M(オグルビー&メイザー)ワールドワイドを
買収してWPPを超巨大なメガエージェンシーに変貌させ、
その後の世界的なメガエージェンシー競争に火をつけました。

【買い物カゴ】


その「サーマーチンソレル」氏は以前以下の様な発言をしていました。

「ブランドを束ねてハーモニーの取れた共同作業をさせるのは
至難の業だと認めざるを得ない。
それがWPPの抱える最大の問題だ」


「広告会社」の各部門間の「セクショナリズム」により
クライアントの複数ブランド間の「トーン統一」および
消費者の実態に即したメディアニュートラルな提案が
かなり困難であるということを言っている様に思います。

どこの広告会社の組織も大小関係なく
大半が機能別に分かれていて、
しかもそれぞれの部署がプロフィットセンター(P&L)に
なっています。各部署は当然それぞれの領域を守ろうとするのは
自然な流れだと思います。

メディアの話ではありませんが、広告会社の中で
例えば広告表現を制作する際に、
「マス広告での表現」と「セールスプロモーション」の
「表現を連動する」という一見なんてことない様なことさえ
かなりの労力が必要だったりすると思います。
それだけ組織の部門間の壁というのは一筋縄ではいかない
ものであると思います。

また「作業効率」の問題もあると思います。
今まで、テレビを中軸にしたメディアプランで
成功してきたのに、今さらわざわざ広告費を下げて損してまでも
多分野の異なる媒体にまたがる「大変な作業」をしたくない
という広告会社のオペレーション効率上の問題もあると思います。

本当の意味でメディアニュートラルになることは、
広告会社にとって、かなり大変なことなのだと思います。

しかし現在の広告界を取り巻く“変化の波”は
以下の様に凄まじいと思います。
①マーケットの変化「成熟市場」
 どんなマーケットも飽和化して競合ブランド間の「差別化」が
 困難になってきている。
②消費者の変化「情報洪水」
 消費者が接触する情報が多すぎてほとんど無視されてしまう。
 消費者の懐疑主義→広告の信用度がそれほど高くなくなっている。
③メディアの変化
 インタラクティブメディアの台頭によるメディア接触時間の分散化。
 TVの視聴率低下とHDDレコーダーの出現によるCM飛ばし問題。

とはいえ日本人は世界的に見てもメディアに対して
受動的に接触している人が多いという話を聞いたことがありますが
確かに大量の媒体出稿による「パワーマーケティング」の
影響を受けやすい気もします。
私自身、テレビでたくさん見かける物を買ったりすることは
結構多い気がします。

今後もマス媒体を大量に使用した広告キャンペーンは
たくさん存在すると思いますし成果も出していくと思いますが、
「クライアントの業種」や「広告の目的」によっては
イベントやPRまでも含めた緻密なメディアプランニングによる
「メディアニュートラル」なキャンペーンの必要性も増す気がします。

そしてメディアニュートラルなキャンペーンは、
媒体量でひれ伏すタイプでは無いため、キャンペーンの
中軸となる「インサイト」および「クリエイティビティ」が
重要になる気がします。
出稿量が少ない分「面白い」必要があるのだと思います。

個人的には、メディアニュートラルな提案の阻害要因と思われる
広告会社の「セクショナリズム」と「作業効率」の解決策は、
組織間の壁を壊した「流動的な組織」および「フィー」や
「成功報酬制」の確立がカギになると思っています。

「人は自分が成功したやり方で失敗する」という
名言を聞いたことがありますが、
私自身、環境が変化しているのに昔の教訓に引きずられて
失敗するということが多々ありますが、
過去を過剰に引きずってしまう「心理バイアス」と
戦っていかないと環境の変化に対応した効果的な広告は
つくれない気がします。

消費者の「真の購入動機」を「インサイト」する
「アカウントプランニング」を軸にして
様々な角度からの立体的なブランド像を構築する
「メディアニュートラル」な提案および
それに適した組織づくりが重要になると思います。

明日は1980年代のアメリカで「アカウントプランニング」
および「メディアニュートラル」の革命を起こした
シャアットデイ社の事例です。

2008年5月12日月曜日

メディアニュートラル①

本日から5日かけて「メディアニュートラル」という
テーマで事例を取り上げていきたいと思っております。

初日は、日本における「メディアニュートラル」な
広告キャンペーンのパイオニア的な事例である
検索エンジンの「goo」の事例です。



ご存知の方も多いかと思いますがこのgooのキャンペーンは、
ユーザーから投稿されたあらゆるジャンルの質問に対して
他のユーザーが答える「教えてgoo」というサービスを
告知しています。

テレビCMを出稿せずに、その分の媒体予算を
「大型ビジョン」や「屋形船の屋根」など
様々なOOH(屋外広告)メディアに配分しています。
特に交通ポスターは東京の65%の駅および大阪の85%の駅にて
30種類の広告を出稿したそうです。




この広告キャンペーンを手がけた「高松聡」氏
(当時電通、現グラウンド代表)は以下の様に発言されています。
“50%の広告リーチを得るにはTVで3000GRP投下
 するしか方法がないと信じられてきたのですが、
 このキャンペーンはその予算をすべて東京の65%の駅と
 大阪の85%の駅張りポスターに投入したんです。 
 サラリーマンや学生は電車で通勤、通学していますから、
 乗り換え1回としても1日の往復で6回駅を利用する。
 月曜から金曜まで毎日駅張りポスターを見てくれるなら、
 一週間で30フリークエンシーになります 。
 また「教えて!goo」は会員にならなければ質問できない
 のですが、それまで300万人だった会員が、
 キャンペーン終了時には600万人に増えたんです。”

出典:読売ADレポート
http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/200510/10toku2.html

【高松聡氏】


日本は海外と比べると「TV媒体」のパワーはそれほど
落ちていませんが(「あるある大辞典」の事件などが
あったにも関わらずなぜかTV媒体の「信用度」は
上がっていたりもします)それでも広告する業種によっては
以前よりもTVメディアのパワーはダウンしていると思われます。

TVに限らずラジオ、新聞、雑誌はいずれ「インターネット上」に
「場を移す」ことで(移さないかもしれませんが)、
再び力を盛り返す様な気がしますが、過渡期である現状は
媒体パワーが落ちているのは否めない気がします。

そんな様々な媒体の力が弱まっている中、OOHメディアは
他のメディアに比べて状況がそれほど変わっていないので
他の媒体のパワーが落ちている分、逆に目立って見え始めている
様に感じます。しかもOOHが掲出されている場所を生かした
クリエイティブ表現が増えつつあり、以前よりも媒体としての
勢いや可能性も見えつつある気がします。

OOHはサーキュレーション(何人の人が広告を目にするか)や
「効果検証」に関しては課題がありますが、
昨今、ものすごい勢いで成長しているPCやモバイルなどの
「インタラクティブメディア」と組み合わせてキャンペーンを
立体化させるなどの解決策も考えられると思います。

明日はメディアニュートラルの「阻害要因」についてです。

2008年5月11日日曜日

パーフェクトストームOOH。

本日は映画「パーフェクトストーム」の変則OOH事例。



パーフェクトストームは直訳すると「完璧な嵐」ですが、
「完璧な嵐感」を表現するために看板そのものを
「嵐で破壊」された感じにしています。

人間は「カオスを見たがっている」という説を
聞いたことがありますが、このOOH事例のように
破壊されて壊れた感じになってる看板は、
その意味で注目される可能性が高い気がしまし、
しかも「破壊されていること」に意味があるので
「納得感」がある優れた広告であるように感じました。

2008年5月10日土曜日

スローなケチャップ。

本日は「ハインツ」トマトケチャップの雑誌広告事例。



コピー【It took us 3hours to write this】
    ここまで書くのに3時間。


ハインツは以前から「スロー」というコンセプトで
ブランドを規定していました。

「スロー」という言葉は「スローフード」的なニュアンスが
ありつつも他のケチャップよりも濃くてビンから出るのが
「ゆっくり」であるという機能価値の意味もあるそうです。
中身が凝縮されてうまみがたっぷり詰まっているケチャップという
実質的なことまで訴求出来ている優れたコンセプトだと思います。

この雑誌広告はそんなハインツの「濃くてゆっくり出る」
という要素を「ケチャップで書いた文字」というユニークな
表現モチーフで訴求しています。

2008年5月9日金曜日

ゲームソフトのCM。

本日はSONY「プレイステーション2」のゲームソフト
「ラチェット&クランク」が2003年にアメリカで
放映していたテレビCM事例。
このCMは個人的に大好きなCMでして
現在話題のバイラルCM的な表現トーンの
CMのパイオニア的な事例であると思ってます。







このCMは家庭用ビデオで撮影された様な「荒い映像」
でありながらハイレベルな特撮技術を使ってます。

広告の受け手である視聴者の方々は、
昔と違ってかなり目が肥えてきているので
特に若者は「いかにも広告」な感じのCMは
拒絶しやすいと思います。

このCMの様に、私たちが普段目にしている
「日常的な映像」を通して「クレイジーな世界観」を
表現するという手法は、ヘンに「広告的な世界」で
表現されるよりもターゲットにとって受け入れやすい
ものになる気がします。

そしてこのCMは単に非常識なだけでなく
ゲーム内の秘密兵器を「日常的世界」の中で見せることで
「異様なインパクト」を出しながらもこのゲームの面白さである
「非現実的な迫力」をしっかり訴求出来ている気がします。

少なくとも私はこのCMを見てかなりこのゲームを
やってみたいと思いました。
クレイジーなだけでなく広告として
優れているCMであると思いました。

2008年5月8日木曜日

現代アート系バナー広告

本日は「アメリカンエキスプレスカード」が協賛する
「現代アートイベント」を告知するバナー広告事例です。

結構わかりづらい表現ですが1分弱で終わりますので
以下のアドレスに飛んで試してまた戻って来て頂けますか。
↓ClickHere!
http://www.bannerblog.com.au/2006/01/amex_movements.php



「アメックス」ロゴを様々な「現代アート」の手法によって
デフォルメして表現するという参加型バナー広告。

ちなみに辞書によれば
Impressionism(印象派、モネなど)
Cubism(立体派/キュビズム、ピカソなど)
Surrealism(超現実派/シュールリアリズム、ダリなど)
Abstract(抽象主義、ジャクソンポロックなど)
Pointillism(点描画法)だそうです。

アメックスを使用する人(したい人)の深層心理には
「他の人とは違うワンランク上の自分」を表現したいという
若干いけすかないインサイトが潜んでいる気もします。
私自身そういう理由でアメックスに憧れてます。

そんな中、現代アートイベントへの協賛ということ自体が
「人とは違う」という気分を高められる気がしますので
絶妙な戦術な気がしますし、同時にこのバナー広告は
一見お遊びの様に見えますがそのいけすかないインサイトを
うまく踏まえた巧妙な広告表現であると感じました。

2008年5月7日水曜日

よくそれるヒゲソリ。

本日は「よくそれるヒゲソリ」のグラフィック広告事例。



この広告は若干マニアックで意味がわかりづらいかもしれませんし、
非常識な表現の様に見えますが、実は結構ヒゲソリを使用する人の
インサイトを巧妙に突いた表現であると感じました。

ヒゲソリは特にアゴの下部分など、とかく顔の「歪曲した部分」が
「そり残し」しやすいですが、 この広告では顔がメルカトル図法の様に
平面になっているビジュアルを使用することにより、
まっ平らな面をそるかのごとくスムースにそることが出来るという点を
ユーモラスかつショッキングなビジュアルで訴求しています。

この広告表現は単なる「ビジュアルレトリック」に過ぎませんが、
人間が「効果」を感じるポイントは案外適当な気もしますので、
時にはこのくらいシュールな広告表現の方が
製品価値を効果的に伝える場合もあると思います。

また、ただ単にインパクトがあるだけでなく、
「ヒゲソリを使用する人の心情の理解」をベースに
制作されているインサイトフルな広告事例であるとも思います。

2008年5月6日火曜日

ブラビア原寸大パンフレット。

本日はソニーの液晶テレビ「ブラビア」の
「原寸大」パンフレット事例。



テレビに限らずサイズが大きな家電って店頭で見ても
自分の家に置いた時の感じがイメージしづらいと思います。

お店に「メジャー持参」で行って、店頭でサイズを計り
家に戻ってまた計ってみるみたいに
結構面倒な手順を踏むことが多かったと思いますが、
このソニーのパンフレット事例の様に、
パンフレットそのものが大きく広げることが出来て
家で大画面テレビを実際に置いてみた感じを
擬似的に試せるというのは派手な事例ではありませんが
インサイトをたくみに突いた優れた事例だと思いました。

2008年5月5日月曜日

ナカタハンガーのOOH。

先日、青山一丁目の地下街を歩いていたら
ショーウインドウの中に本物の「ハンガー」が
単体でポツンとかけてありました。

その他に「洋服」なども、かけられてないし、
なんでハンガーだけが展示されているんだろう?
これは何かの広告なのだろうか?などと
不思議に思っていたら・・・



どうやら「ハンガー屋さん」の広告だったようです。
ならば納得って感じでした。単に広告ポスターを貼るよりも
現物を展示できた方がより具体的に商品もアピールできるので
良いと思いました。しかも・・・


後日、3個に増えてました。


【もはや現代アート:ナカタハンガー東京ショールーム】