2007年12月31日月曜日

ビッグマックの広告。

2007年最終日の本日は、
マクドナルド「ビッグマック」の事例。



「Big Mac」の文字が大き過ぎて
「広告の枠内」に入りきらないという内容。

みなさん来年こそは良い年にしましょう。
(「こそ」ってどういうことだ)

それでは皆様良いお年を。
そして来年も何卒よろしくお願い致します。

2007年12月30日日曜日

大掃除OOH。

本日はポンズ「クレンジングクリーム」の
変則的な看板事例。



毛穴の汚れを根こそぎ掃除してくれる、ということを
人間オブジェ+看板という表現ギミックで訴求。

みなさん大掃除は、お早めに。
(2日続けてベタな終わり方)

2007年12月29日土曜日

メタボなダビデ像。

本日はスポーツクラブのグラフィック広告事例。



「運動しないと太りますよ」という
シンプルなメッセージを、かなり明快に訴求。

みなさん年末年始は食べ過ぎにご注意を。
(ベタな終わり方)

2007年12月28日金曜日

ゲームバナー。

本日はゲーム形式のバナー広告事例。
まずは一度試して戻って来て頂けますか。
ちなみにゲームは「ブロック崩し」ですが、
パドルにマウスオンしてクリックするとボールが出ます。
マウスを左右に動かすことでパドルが動きます。
↓ClickHere!
http://www.bannerblog.com.au/2007/12/dks_synkronoid.php





ちょっとビックリしませんでしたか?

ブロック崩しに没頭し過ぎたせいか、
ミスしたボールがバナー枠外に出たことが
かなり予想外で不意を突かれました。

訴求点は不明ですが、表現手法としては
イイ意味での「裏切り感」がある事例。

2007年12月27日木曜日

目線サングラス。

本日も広告と関係ない事例。
目線の形をしたサングラス。





見ての通り、すっげぇバカです(イイ意味で)。

明日は冬休み前ですので、
12月29日から1月6日までの「9日分」を
一気にアップさせて頂きます。

2007年12月26日水曜日

前衛的な防犯グッズ。

本日は広告と関係ないですが、
実験的ファッションデザイナー「月岡彩さん」の
前衛的「防犯グッズ」の事例。

まず1つめは「消火器に早変わりするランドセル」。




この事例は、かなりアヴァンギャルドで面白いですが、
もし街で見かけたら、きっとツッコミを入れたくなることでしょう。
「かくれる気あるのか」と。

次の事例は「自動販売機に早変わりするスカート」。
文章だけ見ると意味がサッパリわかりません。



↓以下の様にスカートから販売機に早変わりするようです。
(ちなみに写真の女性は月岡さんです)



こ2つの事例はかなりクレイジーで
面白い発想だと思いますが、
本来の「防犯」の役目は
ほとんど果たさないと思われます。
でもそこがイイです。

そして「犯罪者」よりも「逃げる側」の方が逆に
「あぶない人」になっているという
パラドックスが生まれています。
違う意味で犯人は逃げるでしょう。

またこの事例は広告にも応用可能な感じがします。
消費者プレゼントなどで既に
広告代理店が動いているかもしれません。

ちなみにこのスカートは8万8千円だそうです。

2007年12月25日火曜日

クリスマスOOH。

本日はクリスマス特集の最終日。
まずはスターバックスの2つのクリスマスOOH事例。

1つめの事例は、まぁオシャレな感じはしますが・・・



しかし次の事例は若干いただけない気がしました。
ちょっと強引では?
デカけりゃイイってもんじゃないでしょう。



いずれにせよクリスマスは多くの人たちが
ウキウキしている時期ですので、広告を巧妙に行えば
「When to say(いつ言うか)」としては
効果的な時期である気はします。

↓コーラのアドトラックもドストレートだけど
 街でかなり存在感がありましたし。




【おまけ】
昨日マクドナルドで発見した店内ポスター。



パッと見、投げやりな「クリスマスリース」だな
なんて思って良く見たら・・・


ポテトで構成された「リース」でした。
転じて一気にクールに感じました。



マクドナルドって、もっと
こういうことやればイイのにと思いました。

2007年12月24日月曜日

GAPのCM。

来週月曜は振替休日ですので
4日分アップしています。

本日は「GAP」のCM事例。
数年前に日本でも流れていたので
ご存知の方も多いかと思いますが、
改めて見てもスゴイので取り上げます。

まずは3タイプご覧ください。









GAPのCMは広告会社を通さずに、
GAPの宣伝部の人たちが、その時々の最も「旬な」
CMディレクターを直接起用して制作されています。
(現在はCP+Bなどの広告会社が担当しています)

このCMの監督は映画「ヒューマンネイチャー」や
ビョークのミュージックビデオでおなじみの
奇才「ミッシェルゴンドリー」です。

「スナップズームモーフィング」という
かなり変則的な映像技法もさることながら、
音楽も「そりすべり」と「Ice ice baby」を
ミックスさせるというクールな演出です。

それでは、みなさん良いクリスマスを。
Merry X'mas.

2007年12月23日日曜日

風船ドット絵のサンタクロース。

本日も広告と関係ないクリスマス事例です。
以下の写真は、とあるパチンコ店で撮影した
風船で表現された「ドット絵風」サンタクロースです。



写真からどこまで伝わっているかわかりませんが、
かなり「クール」でした。
「この手があったか」って感じがしました。

2007年12月22日土曜日

工事現場のクリスマスツリー。

本日は広告と関係ないですがクリスマス系の事例。
以下の画像はピントがずれていて見にくいですが、
工事現場でたくさんの「照明ランプ」を使用して作った
「クリスマスツリー」です。



この写真からは伝わりづらいかもしれませんが、
くだらなさ半分「都会のメルヘン感」半分で、
なかなかイイ感じでした。

2007年12月21日金曜日

クリスマスカード広告。

本日は、クリスマスが間近ですので
フォルクスワーゲンのクリスマスカード事例。


閉じている時は「フォルクスワーゲン」のマークですが、
開くと「雪の結晶」になるという
DM(ダイレクトメール)にしては
かなりオシャレでウィットに富んだ事例。

2007年12月20日木曜日

アブソリュート・ウォッカ③

本日はアブソリュートウォッカの事例、
最終日です。

以下のバージョンは、私が今まで見てきた
様々アブソリュートの広告の中で
最も好きなバージョンです。



たくさん買物をした女性を表現モチーフに使用することで
アブソリュートウォッカのシルエットを表現しています。
写真のトーンも昔のアメリカ映画みたいでオシャレです。

アルコール商品は、競合の数がおびただしくあるので
ヘンに細かいことを訴求せずに
独特な形のパッケージをオシャレに印象付ける
というアブソリュートのやり口は
シンプルかつ野太い広告戦略であると思います。

ちなみに・・・

【アブソリュートウォッカ・トリビア】
1900年初頭、アブソリュートウォッカ発売前に
事前に消費者調査をかけたところ、
90%以上の人々が「こんなヘンな商品買いたくない」
と答えていたそうです。

しかしこの調査を無視して発売したところ、
空前の大ヒットとなったそうです。

消費者のことを消費者に聞いてもわからない場合がある
という好例だと思います。

2007年12月19日水曜日

アブソリュート・ウォッカ②

本日は昨日に続きアブソリュートウォッカの
様々なバリエーション事例です。

まずはシンプルにウインターバージョン。
雪+アブソリュート。



次に「ENVY(ねたみ)」バージョン。
小さいボトルが大きなボトルに嫉妬しています。



そして「SELFーCONTROL(自制心)」。
これは若干変則的かつ間接的に
アブソリュートのパッケージを表現しています。
つい自制心を抑えきれずにチョコレートを
食べ過ぎてしまったという表現。



明日もアブソリュートの事例です。

2007年12月18日火曜日

アブソリュートウォッカ①

本日から3日間にわたって、
アブソリュートウォッカの伝説の
広告キャンペーン事例を取り上げます。

アブソリュートウォッカはガラス瓶に商品名を
直接「印字」しているユニークな商品です。

広告では、そのアブソリュートの商品自体を
ドーンと全面に使って
様々なアイディアで表現するという
シンプルかつアートなキャンペーンを
長年にわたって続けていました。
(現在は違う広告シリーズをやっています)

ポップアートで有名な「キースへリング」や
「アンディーウォーホール」も制作実績があります。




アブソリュート・ウォッカは一連の広告が評価され
1993年にナイキ、コークと並んで
米国マーケティング協会による
第一回「栄誉の殿堂」入りを果たしています。

アメリカの都市部においてアブソリュートは
「文化的アイコン」になっているそうです。
ちなみに広告会社はシャイアットデイです。

2007年12月17日月曜日

買物カートOOH。

本日は、スーパーマーケットの買物カートに掲出された
「オートバイ」のOOH広告。

私自身もスーパーでカートを使うとき、
カーブを曲がる際に、ちょっとドリフトしてみたりして
何かを運転している気分がしてました。

このOOH広告はその微妙な
メディアインサイトをたくみについている
事例であると感じました。

2007年12月16日日曜日

誤植看板。

本日は広告と1mmだけ関係ある事例。
「誤植」についてです。

以下の写真は、とある中華料理店のものですが、
壁に「いい感じの文字」で書かれたメニューの
「麺」の字がすべて「面」になっています。



最初、本場中国では「面」と書くのかな?と
思いましたが、右端にある電飾看板は、
ちゃんと上海「麺」になっています。

広辞苑で調べても「面」には「麺」の
ニュアンスは無さそうです。

書き終えた後「しまった・・・」と思ったか、
それともいまだに気づかれていないか、
もしくは開き直って古代中国には
そういう「解釈」もあるということに
しているのかはわかりません。

しかし客観的に見たら何てこと無い「誤植」で
あっても案外誰でもやってしまう可能性がある
ものだと思います。

会社の先輩で昔マンションのチラシで
「地下13階」という表記で
世に出してしまった人がいますが(秘密結社か)
じつは笑い事ではないと思います。

このブログもボクが気づいてないだけで
既にかなり誤植がある様な気がしますし。

自戒を込め「誤植」には気をつけてたいと思います。

※今週は個人的な都合で早めに週末分をアップしました。

2007年12月15日土曜日

広告会社のOOH。

本日は広告会社が広告主に対して実施した
かなりエキセントリックなゴンドラ型OOH。



窓ガラスを拭くゴンドラの側面に
「広告のご用命は当社へ」という内容の
コピーが書かれていて、
広告主のオフィス内から見える所で
ゴンドラを配置しておくという
ホイチョイのマンガみたいで
かなり奇抜なOOH。

2007年12月14日金曜日

アカウントプランニング⑤

アカウントプランニング特集最終日の本日は
アップル「Think different」の事例。
日本でオンエアされていましたので、
ご存知の方も多いかと思います。

アップルにスティーブジョブスが戻ってきた際、
「iMac」発表前に実施された企業CMです。
(スティーブジョブスの特集はいつかやる予定です)

日本語字幕が無いので、
先行してナレーションをご確認ください。

【Apple Computer/Think different】
クレージーな人たちがいる。
反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。
四角い穴に、丸い杭を打ちこむように
物事をまるで違う目で見る人たち。
彼らは規則を嫌う。彼らは現状を肯定しない。
彼らの言葉に心をうたれる人がいる。
反対する人も、賞賛する人も、けなす人もいる。
しかし、彼らを無視することは誰もできない。
なぜなら、彼らは物事を変えたからだ。
彼らは発明した。創造した。人の心をいやし、奮い立たせた。
彼らは人間を前進させた。
彼らは人と違った発想をする。
そうでなければ、何もないキャンパスの上に
芸術作品は見えてくるだろうか?
静寂の中に、今までにない音楽が聞こえてくるだろうか?
私たちは、そんな人たちのために道具を作る。
クレージーと言われる人たちを、私たちは天才と思う。

自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、
本当に世界を変えているのだから。
Think Different






当時アップルはマイクロソフトの
圧倒的な脅威を受けていて
シェアは4%を切っていましたが、
しかしジョブスの帰還と共に
このCMが「のろし」の様になって
猛反撃が始まりました。

このCM事例においての購入動機は
「機能」という明確なものではなく、
「精神性」という形がなくて抽象的で曖昧な
ものであると思います。

アップルはシェアが少ないことを逆手にとりつつ
ジョブスの理念に基づいた「人と違う」ことの意義を
「鼓舞」するように訴えています。

当時のアメリカでは「こんなメッセージが広告になるのか?」
という議論が頻繁にされたと聞きます。

しかしアップルは、アメリカだけでなく
世界中で「カルチャーアイコン」になっている
数少ないブランドでもあります。

このCMの背景にはアカウントプランニングおよび
クリエイティブブリーフに基づいて制作されていると
思われますが、決して理屈っぽいわけではなく、
むしろ人々の感情を強くゆさぶって勇気づけ、
高いブランドロイヤリティを獲得していると思います。

アカウントプランニングは
クリエイティブを締め付けるものではなく、
訴求点にリアルな人間の視点を注入して
シンプルに1点に絞り込むので、
逆にクリエイティブを自由にするものであると思います。

もちろんアップルは「製品自体」も魅力的ですが、
確実に「広告」がイメージ的に力強い援護射撃を
していると思います。

「アカウントプランニングが広告を変える」によれば、
広告主が何年間もやってきたのは、
消費者に伝えたいことをそのままメッセージにし、
何度も何度もそのメッセージを繰り返すということだ。

しかもそのつど、前よりもっとやかましく伝える。

この背景にあるのは、
消費者は愚鈍だからメッセージを理解させるには
目の前に突きつける必要があるという考え方である。

伝えたい内容をそのままメッセージにするのではなく、
消費者自身がその内容について考える余地を残す方が
広告はより効果的になるのだ。


どんなにクライアントから多額の広告費をもらおうとも
広告を判断するのは「消費者」という残酷な第三者です。

クライアントの成功を心の底から願えば願うほど
消費者の視点を広告に強く取り入れるべきだと感じます。

消費者に受け入れられなければクライアントの成功は
無いわけですので「残酷な消費者の視点」を
広告戦略に組み込まないわけにはいきません。

場合によっては親友に苦言を言うように
クライアントに対して「意見する」場合も
あるかと思います。

社会心理学で「マージナルマン」という用語がありますが、
その組織に属さない人間の方が、客観的にその組織のことが
わかるというものです。

クライアントは製品に命をかけていて
1日中製品のことを考えているプロですが、
広告会社は一日中「消費者」と
「広告」のことを考えているプロであるべきだと思います。

製品はクライアントがつくりますが
ブランドは「社会の承認」がつくりあげるものだと思います。

そして広告会社はマージナルマンとして
ブランド確立のサポートをすべき存在
である気がします。

一方的な思いを伝える広告だけで
成功できた時代はあったでしょうし
今後もその様なケースもあるとは思いますが、
大きな潮流は消費者視点をかなり重視した上での
社会性があるブランド個性の確立が
重要になっていく気がします。

また一方的に伝えたい内容であっても
大量に広告したり面白く表現すれば
当然効果は出るとは思います。

心理学でも「単純接触効果」といって
「何回も接触」したものは無条件で好きになりやすい
という実験結果も出ています。

しかしこの種の広告は一種の催眠術的な要素が強く、
消費者自らが自発的に意志を変えるわけではないので、
12時を過ぎたら魔法が解けてしまう場合が
多いと思います。
つまりイメージの「累積効果」がきわめて弱くて
短期間で広告の効き目が切れやすい、
実は投資効果率が悪い手法だと思います。

話は若干変わりますが、私は常日頃から
消費者にグサっと届く「機能する広告制作」を
最もジャマしているのは、
「自分のことがわかり辛いのは皮肉なことに自分である」
という点であると思っていますが、
これはクライアントの問題などではなく
広告会社の問題であり「人類全体」の問題だと思います。
ボクの問題であり、みなさんの問題だと思います。

バーンバック氏が「相手が正しいかもしれない」と
書かれたカードを常に持ち歩いていた、という逸話が
ありますが、それだけ人間は主観的で
「ひとりよがり」になりやすく、しかしそのことは
自分自身では気がつきにくいものだと思います。

「相手が正しいかもしれない」をさらに飛び越えて、
「自分が間違っているかもしれない」と思うことが
自己革新のための重要なファクターであると
ボクは思っています。
非常に難しいことではあると思いますが。

また「他者の視点」を「定性的」に取り入れる
アカウントプランニングという広告手法は、
ある意味で「経営に占い師を組み込む」様なものであり
当然リスクも伴います。

しかし現実には「占い師」を組み込まなかったとしても
現在の経営は「リスクだらけ」ですので、
だったら試しに組み込んでみてもイイ気もします。

本日のCM事例のクライアントである
アップルは「スティーブジョブス」という
経営者そのものが「占い師」である企業です。

しかしそのアップルが90年代トップクラスの成功を納めた
企業であるという歴然とした事実もあります。
この点は無視できない重要な要素だと思います。

ただし何でもかんでも直感に頼る「超占い師型経営」は
それはそれで偏る気がします。
例えばナイキのフィルナイトの前職は「会計士」という
かなりデータ畑の人だったそうですし。

データを無視した「占い師」ではだめなのでしょう。

また小林保彦教授の本に書いてあったのですが、
アカウントプランニングがCD(クリエイティブディレクション)と
融合した「クリエイティブコンセプティング」という動きも海外では
あるそうです。
用語ばかりが先行するのは良くないですが、
その様な動きがありCDの職能定義の変更の
可能性もある気がします。

広告業は特殊な業種です。
「データ・定量系」の部署と
「クリエイティブ・定性系」の部署が
並存している珍しい組織形態です。

また様々な業種も扱っていて
いろんな業界の消費者動向にも長けています。
この点はクライアントには無い要素だと思います。

広告とクリエイティブは本当に楽しくて
幸せな仕事だとボクは思っています。
自由で面白いクリエイティビティは
賞を取るための手段や夢物語ではありません。

ビジネスを推進させる最も破壊力がある核兵器なはずです。

その突破口であり広告に関わるすべての人たちが
幸福になるシステムが、
アカウントプランニングだとボクは思ってます。


ちなみに・・・

ナイキトリビア①
1980年にフィルナイトが初めて
ダンワイデンに会った時に口にした言葉は
「フィルナイトと申します。広告は大嫌いです。」
だそうです。クールだ。

ナイキトリビア②
1983年の段階でナイキは
ワイデン+ケネディではなく、
シャイアットデイに広告制作を依頼しようとしていた。

ナイキトリビア③
Just do it.は最初は
「Just fuck it.」だった。

2007年12月13日木曜日

アカウントプランニング④

アカウントプランニング特集4日目の本日は
クリスピンポーターボガスキー(CP+B)の
「フォルクスワーゲンJetta」のCM事例。

まずはCMをご覧ください。
↓Click Here!



このCMは本年度のカンヌFilm部門で
金賞を受賞しています。

シンプルだけど、かなりクレイジーで
インパクトがあるCMだと思います。

自動車はアメリカにおいても当然「基幹産業」で、
多額の広告費が動くビジネスであるため、
なかなか思い切った広告表現はとりづらいはずです。

「戦争論」で有名なクラウセビッツも、
『高いところに上るほど、勇気は乏しくなる』
と言っています。

しかし力が入ると逆に空回りすることが多いように、
いかに基幹産業とはいえ
広告主の「思い」だけを詰め込んでも
広告はなかなか機能しにくいです(例外もありますが)。

広告においては基本的には消費者にとっての
「購入動機」をベースにシンプルなメッセージを
訴求すべきではないかと思います。

このワーゲンのCMの場合は、
「頑丈」で「事故になっても大丈夫」という点に
フォーカスして訴求しています。
スピードが出る自動車ほど「安全」が
気になるものだと思いますし。

「安全」に対する渇望は、受け手視点にたてば
人間にとって最も根深い願望の一つであり、
広告コミュニケーションで強調する1点に
なりえる要素である様に感じます。

そして、その「頑丈」の描き方も、
「衝突実験場面」などのありふれた
「コンベンション(慣習)」で表現するのではなく、
現実の「事故現場」という
自動車業界がこれまで避けていた状況で
描いています。

このCMは一見、非常識で過激に見えるかもしれませんが
自動車は「事故」の恐怖が常に付きまとっていて、
現実に交通事故の数も多いわけですから、
個人的にはある意味「誠実である」様にも感じます。

しかし広告主サイドとは猛烈なやり取りがあったことが
予測されます。

いかにウィットのある広告で評判の
フォルクスワーゲンであっても、
ここまでの表現を実施する決定には
かなりの葛藤があったはずです。

しかもおそらく、このCMのオンエア後、
相当な数の「苦情」があったはずですし。

しかし、繰り返しになりますが、
このCMは別にフザけて事故現場を
出しているわけではありません。
CP+BのCMにしては珍しいくらい真面目です。

事故に対するケアはメーカーとしての責任であり、
安全にしっかり取り組んでいることを
メッセージすることは、むしろ誠実だと思います。

そのメッセージを強く訴求するために、
激しい表現モチーフを使用するのも
アリではないでしょうか
(日本の場合は同じことをやったら、
ちょっと急過ぎて大変なことになると思いますが)。

クライアントサイドにある種の英断が
無ければ出来なかったであろうCM事例であり、
その背景には綿密な調査を含むインサイト抽出
およびアカウントプランニングをあったと思われます。

アカウントプランニングは、
消費者自身も意識していないような奥底に、
人の行動を決める気持ちが
潜んでいるのではないかと考えます。

目に見える現象を捉えるだけの消費者分析では、
コンシューマインサイトを見つけ出すことはできません。

心理学の大家であるジグムント・フロイトによれば
人間の意識の95%以上は自分でも知覚できない
「無意識層」
であるそうです。

【Sigmund Freud】


そして人の心には自分にとって都合の悪い体験を
意識から無意識に追いやる「抑圧」という働きがあるそうです。
「抑圧」の過程は「無意識」に起こるので
どんな感情体験や出来事を思い出さないようしているのか
自分自身では自覚できません。

現状の消費者意識は本人に回答させる
「質問紙法」によるものが主流です。

しかし人間がどの程度正確に、率直に
自分の人格傾向について回答するかは、
回答する状況(場面設定)にかなり影響を受けます。
調査会場の状況って普通ではないすし。

さらにそれとは別に
自分の人格傾向についての報告の正確さ
(自分が感じ取ったことを正確に把握する能力)には
かなり個人差があることが明らかにされています。

その根源的な要因の一つが「抑圧」であると
私は感じています。

消費者の購入動機を「調査」に代表される
「科学」のみに頼ることはリスクがある気がします。

ビジネスにおける科学は、
17世紀の医学と同程度である。
という説を
本で読んだことがありますが、
もしそうだとしたら、そんな人に
手術して欲しくないと思います。

ビジネスの「科学化」の努力は引き続きすべき
だと思いますが「科学」のみに囚われていると
真実を見失って足元をすくわれる気がします。

しかし現状の日本の広告界はビックリするほど
「データ偏重」で動いています。

私は大学を卒業して広告会社に入って
最も驚いたことの一つが「過度なデータ偏重」でした。

「データ」って「具体的」だから拠り所にしやすいです。

「クリエイティビティ」の様に正解が曖昧で
ふわふわして形の無いものは「データ」の前に
粉々に破壊されてしまいやすいです。

データは「現在」と「過去」を把握するのには便利ですが、
「未来」のことは、ほとんど書かれていません。
データから「未来」を見つけるのは危険過ぎます。

本当に強力な「未来」は、
「ビジョン」がつくるものです。

広告は「ビジネスアート」であり、
ビジネス50%+アート50%であるのが理想な気がします。
(時と場合でこんなキレイに分かれないとは思いますが)

でも現状はビジネス90%+アート10%くらいな感じが
してなりません。

アートには商売のための「破壊的なパワー」があるはずですが、
あんまりそう思われてないという厳しい現実がある気がします。

ビジネス性が皆無な「広告アート」が存在するという
事実もあるためクライアントが警戒している
という問題もあるからだと思います。
クリエイティブ90%でもダメなのだと思います。

とはいえ少なくとも購入動機発見の段階から
「直感」や「仮説」を重んじた
「クリエイティビティ」が入っていく必要性はあると思います。

もちろん可能な限り「定量的」な「データ」の
裏づけは出すべきですが。

その上で「クレイジーな広告表現」に関しても
マーケティング戦略上の「一種の道具」と
ドライに割り切って効果的に活用すべきだと思います。

話は全く変わりますが、
アカウントプランニングの「創始者」に関して書きます。

アカウントプランニングの始まりに関しては諸説ありますが、
イギリスで1960年代中盤に「スタンリーポリット」という
営業、メディア、マーケを経験した広告マンが始めたとされています。

【Stanley Pollitt】

彼はその後、ボーズマッシーミポリット(BMP)
という世界中に名をとどろかせたクリエイティブエージェンシーを設立。
(現在は「BMPDDB」を経て「DDBロンドン」)

ちなみに彼はボクサーでも有名だったそうです。
データで説明できない場合は、
暴力的に押し通してたのでしょうか。

最終日の明日はアップルの事例です。

2007年12月12日水曜日

アカウントプランニング③

アカウントプランニング特集3日目の本日は
2日間にわたって、
現在、世界で最も創造的な広告会社と言われる
クリスピンポーターボガスキー(以下CP+B)の
事例を扱います。

【Alex Bogusky】


CP+Bの説明はかなり長くなりそうなので、
年明けに改めて特集しますので今回は割愛いたします。

まずは昨年日本にも進出した
スウェーデンの家具流通「IKEA」のCM「Lump」。
初めてご覧になる方のために
事前にCMの内容を解説いたします。

このCMは古くなって捨てられた電気ランプを擬人化して、
新しいランプと対比することで
新しい商品の良さを伝えるという内容です。

あたかもCM演出で古いランプを「かわいそうに」思わせた上で、
ラストに男が唐突に現れて
「このCMを見てランプがかわいそうと思った奴は
 バカげている。物に感情なんて無いんだ。
 新製品の方が良いに決まってるだろ!」と言い放ちます。
かなり挑戦的なメッセージのCMです。




ちなみにこのCMは2003年の
カンヌ国際広告祭フィルム部門の
グランプリを受賞しています。

CP+Bはカンヌの常連であるだけでなく、
アカウントプランニングアワード(APG)の
グランプリも受賞していて、
単にクレイジーな表現を作るだけでなく、
「広告」としても地に足のついた戦略立案機能をもった
優れた広告会社です。

ちなみにこのCMの演出家は、
映画「マルコビッチの穴」の監督で
ソフィアコッポラの夫でもある
「スパイクジョーンズ」です。

このCMについて当時カンヌの審査委員長を
勤めていたダンワイデン(ナイキで有名な
ワイデン&ケネディのCEO)のコメントです。

【Dan Wieden】


【ダン・ワイデン/ワイデン&ケネディCEO】
人は自分の日常生活で使っている道具に
無条件に親密さを感じ、同時にどうでもいい理由から、
それを捨ててはいけないと思い込みたがる傾向がある。

この作品はそういう感情にカウンター攻撃をしてみせた。
捨ててはいけないという思いこみが
いかに無意味かと合理的かつ正当性を持って語っている。


本日の締めは様々な書籍からカット&ペーストします。

青山学院の小林保彦教授著
『アカウントプランニング思考』より。
従来の消費者分析の考え方では消費者を
『論理的に考え、合理的に判断する人間』と捉えてきた。
しかし、実際の消費者は必ずしも商品を
合理的に評価したり購買したりしない。

『マーケティング22の法則』より。
マーケティングとは『知覚』をめぐる戦いであって、
『商品』をめぐる戦いではない。

『アカウントプランニングが広告を変える/ジョンスティール 』より
問題はひと昔前の機械論的広告効果観や
消費者を遠ざけておこうとする手法のせいである。

その結果、消費者と商品ないし商品カテゴリーの間にある
『真の結びつき』を理解しないまま広告が作られ
消費者の『心の核心』に触れず認識や行動を
ほとんど変化させられないことが極めて多い。

真実は目の前にあるのに、
広告主と広告代理店のどちらの目にもそれが入らないし、
目を向けようとすらしない。
王様は裸なのに誰もそのことに気づいていない。

『アンダーザレーダー型広告手法』より。
◆広告らしくするな。戦略を表に出すな。
◆ユーモアは単にクリエイティブの賞を
 数多く獲得するための仕掛けではなく
 優れたマーケティングそのものなのである。


明日もCP+Bの事例を扱います。

2007年12月11日火曜日

アカウントプランニング②

本日はアカウントプランニング特集の2日目。
アメリカでの「GOT MILK?(ミルクはある?)」の事例。
まずはCMをご覧いただけますでしょうか。

若干分かりづらいので
念のため事前にストーリーをご説明します。

少し先の未来を予知できる少年が、
パーティーの席でみんなに
「ケーキを食べちゃだめ!」と叫ぶ。

しかしみんなは無視して食べるのですが、
牛乳がカラであると知って
少年が正しかったことを知るという内容です。

つまりケーキを食べる時は牛乳が不可欠である
ということを遠まわしかつユーモラスに
訴求しています。





このCMは1992年から現在に至るまで
様々なバージョンが制作されている伝説のキャンペーンです。

牛乳が無いと困る状況を描き、
「ミルクはある?」というタグラインで締めます。

以下、秀和システム刊
「広告業界の動向とカラクリがよ~くわかる本」
より一部抜粋。

1990年代当初、アメリカではミルクの消費量の
落ち込みが激しくなっており、
ミルクの消費量を上げるキャンペーンが実施されました。

過去には、ミルクの良さ、いかに健康に良いかなどを
アピールしてきましたが、あまり効果は見られませんでした。

しかし、ここで消費者の行動を動かすツボを考える
アカウントプランナーは「消費者はミルクが嫌いだとか、
健康にいいことを知らないでミルクを飲まないのではなく、
ミルクを飲みたくなるような場面が減っているから
飲まないのではないか?
」という仮設をたてました。

そしてその仮説を立証するために
牛乳が無い状態で生活する人を観察する
「剥奪調査」というユニークな調査手法によって、
ミルクを飲む時というのは、
ミルク単独で飲むことよりも、
何か特定の食べ物を食べている時に
一緒にミルクを飲むことが多いことがわかりました。

逆に言うとミルクを飲みたい時、
近くにないから飲んでいない、
でもそこに潜在需要があるはず、と
アカウントプランナーは考えたのです。

そこで生まれたのが「GOT MILK?」という
広告コピーと、いかにも食べた後にミルクが
欲しくなるような食べ物のビジュアルでした。

消費者は、この広告を見て
「ああ、そうそう。こういう時、
ミルクって欲しくなるよな。
でも最近ミルク買ってないから、
ちょっと買っていこうか!」と
思ってもらえるように仕向けるわけです。

アカウントプランニングは、単なる調査結果や理屈、
はたまた単純な表現のインパクトだけでなく、
しっかりと消費者に共感してもらい、
行動してもらうことに主眼を置いているのです。

この一連の「GOT MILK?」キャンペーンは
アメリカ西海岸にある新進気鋭のクリエイティブエージェンシー
「グッビースルバースタイン&パートナーズ」によるものです。

この会社のアカウントプランナーである
ジョンスティール氏は日本における
アカウントプランニングの代表的な本である
「アカウントプランニングが広告を変える」の著者です。
イギリス人で皮肉屋なので文章もかなり面白いです。

【Jon Steel】




この本によればアカウントプランニングは
以下の背景からアメリカで必要性が問われた
とのことです。

(以下本文より抜粋)
アカウントプランニングが広告プロセスに
もたらした決定的要素は、広告制作プロセスが
「消費者主導型」になったことである。

そもそも広告は人々の消費行動に影響を与えるため、
おそらくこの「消費者主導」という考え方は
さほど画期的に思えないかもしれない。

しかし実際の広告開発の現状は、
消費者をマスと見なすマスマーケティングの
一部分として解釈されてきた。

市場の高度成長期はハードセルで、
時にはイメージ戦略で成功してくることができた。

ところが市場の飽和と消費の鈍化が進む現状では、
マスコミュニケーションの限界が見えてきた。

広告界を悩ます最も大きな問題は、
消費者が見えなくなったことである。
つまり「売れる広告」の核心が見つからないのである。


明日は現在、
世界で最も優れた広告会社と呼ばれる
「クリスピンポーター&ボガスキー」の
アカウントプランニング事例です。

2007年12月10日月曜日

アカウントプランニング①

今週は、若干つまらないかもしれませんが
ボクが個人的に日々研究している
アカウントプランニング&消費者インサイト特集です。

自分の頭の整理の意味も含めて
かなり長文の特集になると思いますが
お付き合い頂ければ幸いです。

というのも広告クリエイティブの抱える問題は、
クリエイティブとは直接関係ない所に
存在していると思うからです。

その突破口になるのがアカウントプランニングおよび
消費者インサイトであるとボクは思っています。

本日から5日間、過去の海外の事例を考察することで
日本の広告界の未来についての
考察をしたいと思ってます。

初日の本日は当ブログでも頻繁に取り上げさせて
もらっているリークロウ氏でおなじみの
TBWAシャイアットデイの事例。

【Lee Clow】


その前に用語に関してですが、
まず「アカウントプランニング」ですが、
これは90年代後半、
日本の様々な広告会社で導入された概念ですが、
日本においては「営業」の言い換えくらいにしか
なっていないのが現状です。

しかし実際の定義は米国広告業協会AAAA(A多すぎ)
によればアカウントプランニングとは
「消費者心理や行動を理解し、
 広告開発のすべてのステップに反映させること」
です。

消費者インサイト(Consumer Insight)に関しては、
ボク自身の個人的な捉え方になりますが
「買った本人すら自覚できない無意識層も含めた
真の購入動機を見抜くこと」だと思っています。

アカウントプランニングがアメリカで発展した背景は
日本におけるアカウントプランニングの権威である
青山学院大学の小林保彦教授の
「広告ビジネスの構造と展開」によれば、



バーンバックが1960年代に起こした
クリエイティブ革命の後の アメリカでは
1970年代に入って逆に
「マーケティング科学主義」が台頭したそうです。

過剰に計量化したマーケティング技術は、
人間の心理の奥までも数字でとらえようとした結果、
その「モデル化現象」が米国の広告から
クリエイティビティを奪ったそうです。
これって現在の日本とそっくりな気がします。

しかし70年代にはクリエイティブ゙不毛の時代と
言われたアメリカで80年代に
アカウントプランニングが導入され、
それと共にクリエイティブ再生が始まったそうです。

そのパイオニアがジェイシャイアット氏率いる
シャアットデイだったのです。

【Jay Chiat】


アカウントプランニングが導入された後の
アメリカ広告業界ではクリエイティブエージェンシーや、
プランニングエージェンシーといった 比較的小、中規模の
会社の活躍が見られる様になりました。

ナイキで有名なワイデン&ケネディやグッビーシルバースタイン等
新興勢力の活躍の背景にアカウントプランナーの
存在が認められてます。

【Dan Widen+David Kennedy】



【Jeffrey Goodby】


小林教授の本に寄ればアカウントプランニングを
取り入れた広告会社は、
①新しい広告主の獲得に成功するケースが多い。
②新しいビジネスチャンスに成功するケースが多い。
③数多くの広告賞を獲得するケースが多い。

シャイアットデイ社を例に取ると、
アカウントプランンイングが導入された2年半後の1984年には
取扱高が8千万ドルから2億3千万ドルに跳ね上がりました。

以前ご紹介したアップル「マッキントッシュ」のCM
「1984」はカンヌも受賞して
アメリカ史上最高のCMにも選ばれています。

そして「アカウントプランニング」および
「クリエイティブブリーフ制度」を取り入れたことにより
打ち合わせ時間が半分近くに短縮されたそうです。

シャイアットの広告は現在も、
アカウントプランニングおよびディスラプションに基づいて
制作されています。

ここでアップル「iPod shuffle」の事例をご覧ください。



このCMについても、
クライアントであるアップル社にしてみれば
「シャッフル機能」を中心にミニサイズになったことなど
様々な商品機能を語りたいところだったと思われますが、
消費者にとっての真の購入動機は
「シャッフル機能」ではなく、
「洋服につけられる」です。



シャッフル機能は自明なので、
広告であえて強調するポイントではありません。
パンフレットやWebやニュースで
知っているはずです。

しかし広告主サイドはこの商品の中核価値である
「シャッフル機能」を訴求したいと思うはずですが、
広告という「不自由なコミュニケーション」においては、
消費者サイドが買っている「本当の理由」1点に
絞りきらないと受け手の脳内にたどりつけません。

その「本当の理由」は競合商品との関係や
社会状況によって、常に変化するはずです。

広告は商品の絶対的普遍性を表現するために
使用すると思われがちですが、
この情報洪水の中では消費者の脳髄には
たどりつきにくいと思います。

消費者の心理を突き動かす最も重要な
「1つ」の訴求点を「消費者」の基準で
選ぶべきだと思います。

「2兎を追う者は1兎も追えない」のです。

クライアントは「洋服につく」だけを訴求するって、
うちはバッジ屋じゃないんだからって思うかもしれませんが、
広告は製品を正確にインフォメーションするためのものではなく、
消費者が買う理由にフォーカスして訴求すれば
十分役割を果たすと思います。

その訴求点の選定基準は、
広告主が「言いたいこと」ではなく、
ターゲットである消費者が「聞きたいこと」という
真逆の観点で制作されるべきです。
(当然、例外もありますが)

これはちょっとした違いの様でいて、
天動説と地動説くらいの差がある考え方です。
下手すれば死人が出ます。

クライアントにとってみれば、
7番目くらいに言いたいことであっても、
消費者にとって1番の理由になるなら、
その7番目の商品利便で広告を作るべきです。

この起点を間違うとボタンのかけちがいが起き、
どんなにインパクトがある広告表現を
用いたとしても、消費者の購入動機を射抜く
ビンゴな広告にはならないと思われます。

「購入動機を見つけること」こそが
クリエイティブでアートなものであるべきなのに
現状の広告界では、このパートは「データ」の
裏づけ偏重の「科学」として扱われている
という現状があります。

ここが一番の問題点であるように感じます。

また自分自身の願望を自覚している消費者は
案外少ないと思われます。

上記のiPod・shuffleも消費者調査をかけたら
案外「シャッフル機能が小さくなった」ことが
最大の購入動機という結論になってしまう
可能性も高い気がします。
この点もアカウントプランニングが抱える問題の
一つである気がします。

シャイアットが起こしたアカウントプランニング革命は
実はアップル1984以降、時代の潮流にはならずに
失速します。

本当に新しくて効果のある考え方は
簡単には受け入れられないものなのだと思います。

アカウントプランニングやインサイトの妥当性は
「数字」で表すことが困難なので
ビジネスにおいては負けやすいという
大きな問題点もあります。

最終的には、数字で証明できないものに
経営をゆだねるクライアントの「勇気」と
「口だけではない真の顧客視点」が
最大のポイントである気がします。

明日は90年代のアメリカで再び
アカウントプランニング旋風を巻き起こした
グッビーシルバースタイン&パートナーズの事例です。