2007年8月31日金曜日
2007年8月30日木曜日
いじめ体験型Web広告。
このバナー広告を体験したうえで戻ってきて頂けますか。
とかくCMなどこれまでの4マス広告では
いじめに限らず人間は他人の立場になるのが苦手なので、
このWeb広告は例え擬似的であれ、いじめられた状態を
この広告はカンヌなどを受賞していなかったが、
2007年8月29日水曜日
邪悪なキャラクター。
下の写真は渋谷ハチ公の近くにある写真撮影スタジオの
広告で使用しているキャラクターです。
このキャラはオレンジを削って作られているのですが、
かなり「邪悪な感じ」がします。
最近はキャラクターが世の中に溢れていて、
特に渋谷は「キャラだらけ」でインフレ状態です。
ただ単にかわいい感じのキャラは見飽きた感があるし、
他の広告との差別化の意味も含めて
毒づいたキャラを立てるのはわからなくもないです。
悪魔やバイキンのキャラなど本来かわいくないもので
うまくキャラを成立させた方がヘンに媚びてないので
ウケたりするのでしょう。
しかしこのキャラは毒づきすぎ。
歯並び、目つき、鼻に向かって黒ずむ感じ全てが腹立たしい。
さじ加減は大切である。
2007年8月28日火曜日
1995年カンヌ・グランプリCM。
2007年8月27日月曜日
お祭りOOHメディア。
たまたまスーパーよさこい2007に遭遇しました。
その中で、このお祭りを先導する「山車」的な車が
何台かあったのですが・・・
こんな所にも「楽天トラベル」の広告がありました。
楽天トラベルは新聞などのメディアで、時事性を踏まえた
ユニークなコピー展開をされていますが、この山車メディアの様に
広告混雑から抜け出すクラッターフリーでクレバーなメディア展開も
行っているようです。
ただ単に山車という変わったメディアに広告を出すというだけでなく
キャッチコピーでも、お祭りとうまくひっかけた内容を訴求することで
印象度を深めていました。
ちなみに他にも以下の様な山車メディアがあったのですが・・・
「AIGスター生命」と「よさこい祭り」って、世界中に存在する
あらゆる単語の中から最も関連性のうすい単語を
2つランダム選んだってくらい関係ない感じの組み合わせですが、
逆にアヴァンギャルドで面白い感じがしました。
2007年8月26日日曜日
ぼく、ドラえもんでした。
以前、本屋で見つけて衝撃を受けた「本のタイトル」事例です。
作者が目に入る前にタイトルだけが目に飛び込んで
衝撃を受けました。
「ぼく、ドラえもんです」というあまりにもなじみ過ぎたフレーズが
過去形になって破壊されていたことに激しい衝撃を感じました。
このタイトルを見て様々な感情がよぎったのですが、
過去にドラえもんだったのなら「じゃあ今は何なんだ?」と感じました。
結局「大山のぶ代」さんが著者なので、納得なわけであるが、
この本のタイトルの様に、それまで当たり前の様に思っていた
フレーズであればあるほど崩された時に大きなインパクトが生まれる
という好例でもある。
ちなみに違う書籍で「かみさんはドラえもん」という
大山のぶ代さんのご主人が書かれた本があり、
こちらも本屋で異彩を放っていた。おそるべし大山夫妻。
2007年8月25日土曜日
新しい広告会社「R/GA」。
「Cutting Edge(とんがってる)」な広告会社との呼び声も高い
「R/GA(アールジーエー)」のキャンペーン事例をご紹介します。
このキャンペーンはNYのタイムズスクエアに屋外看板を設置して
通行人が携帯電話を使って看板上のスニーカーを
自分の好きなようにデザインして注文できるというもの。
一度全く業態を変えてしまう会社として知られていて
現在はインタラクティブ・フルサービス・エージェンシーという
そして、この会社の凄いところが、業態を変化させる度に
今年のカンヌを受賞したアップルiPodとナイキがコラボした
同社のもう一つの特長として、チーム構成員の「職能」が
現在、目まぐるしく変化する広告市場において
2007年8月24日金曜日
ナイキ代々木公園イベント。
2007年8月23日木曜日
効率の良いトラック広告。
最近感心した日本の広告事例をご紹介します。
これは代々木公園の近くを散歩していた時に見つけた
広告デザイン入りトラックです。
商品は家庭用の「ルームランナー」です。
(その場で走り続けるトレーニング用具)
このトラックは特に走ったりするわけではなく、
ただ単にひたすら駐車されているだけでした。
ルームランナーの潜在ターゲットの中には、
「ランニングする習慣がある人」が含まれると思います。
そして代々木公園には、
そのランニングしている人が多いのですが、
公園周辺には屋外看板などの広告媒体はありません。
つまり、このトラック広告は媒体費をかけずに、
「駐車」という原始的な手法で、
ルームランナーを買う可能性が高い人々に
ピンポイントで訴求する「効率良いメディア展開」を
行っていたのです。
(渋谷で看板を2週間買うだけで数百万円かかります)
商品を買う可能性が無い1000人に広告を見せるよりも
よっぽど費用対効果が良いと思われます。
なんてことを一人で考えていたら、
この日以降、このトラックは見かけなくなったので、
「駐車してはいけない」と言われたか、
それとも「全国を行脚」しているのか、
もしくは「ただの偶然か」は、わかりません。
しかしトラック広告を絶妙な場所に駐車して訴求する
という手法はゲリラ系メディアのヒントになると感じました。
2007年8月22日水曜日
バイラルCM『RAY-BAN』
BRONZEを受賞したサングラスのレイバン社のバイラルCM
「SUNGLASS CATCH 」をご紹介します。
ご覧頂けるとおわかりになると思いますが、
かなりバカな内容なのである(当然良い意味で)。
これまでのマス広告は、ある意味「上から下に物申す」
様なものが主流であった。
一部のマスコミなど限られた人しか、
「マスコミュニケーション」をすることが出来なかったので、
ある種の「特権化」していたことが関係していると思われる。
しかしインターネットの機能が安定するに従って、
あらゆるものが「対等になっていく」という力学に
拍車がかかっている感じがある。
バイラルCMのポイントは、消費者自身にメディアに
なってもらうことであるが、
他人に紹介したくなるCMというのは、上記のレイバンの様に
「すっげぇ、バカなCMなんだけど見てよ」みたいな一言と共に
見せれるくらいスキがある表現の方が適している。
いずれにせよ、インターネットによる「対等化」の流れは
今後も進むはずであり、広告主も制作者も
これまでの様に「いばったコミュニケーション」では通じにくく
なることが予測される。
2007年8月21日火曜日
デジタルリーフレット。
デジタルリーフレット(小冊子)事例。
↓Click Here!
http://206.55.119.115/view.php?id=164
この小冊子の右下部分をクリック&ドラッグすると
本物の小冊子をめくる様な感覚でページをめくることができる。
実際に体験されるとわかると思いますが、
めくる感じが結構イイ感じです。
Web系広告って、とかく無機質になりやすいので、
このリーフレットの様にページをめくるという「現実の行為」に
限りなく近づける手は、まだまだ他でも応用可能だと思う。
2007年8月20日月曜日
2007年8月19日日曜日
異常にわかりやすい広告。
2007年8月18日土曜日
『ハニカミチャージ』
訂正【ペンキ店⇒損害保険】
2007年8月17日金曜日
ビル・バーンバック⑤アメリカ民主党キャンペーン。
「広告」に出来うる最大級の偉業を成し遂げた
究極の広告「アメリカ民主党キャンペーン」の事例を
ご紹介します。
このCMは、1964年アメリカ民主党のジョンソン大統領が
DDBに依頼して制作されたもので、
ベトナム戦争を終わらせるためには原爆使用も辞さないと
主張していたゴールドウォーター陣営を徹底的に攻撃した超問題作。
花びらを数える少女と原爆発射のカウントダウンをかけた過激な内容で共和党の激しい抗議を受け1回しか放映されなかった。
しかし放映後、当時としては考えられないくらいのバズ効果を生み
最終的な投票結果はジョンソン(61.0%)ゴールドウォーター(38.5%)
で民主党の圧勝であった。また皮肉なことに媒体費用は民主党580万ドルに対して、負けた共和党は2倍以上の1600万ドルであった。
ゴールドウォーター陣営の広告会社であるインターパブリック
(DDBの競合広告会社)の媒体専門家たちは17億もの情報を
電子計算機にかけ全米を200のテレビマーケットとし最小の費用で最大の視聴者にメッセージを伝達する方法を計算したが、結局この時の媒体専門家たちは言うべきことが何であるかメッセージはどうあるべきかを知らなかったため完敗したのである。
このCMもナレーションがスゴイ。
Na:11月3日にはジョンソン大統領に投票しましょう。
家にいるなんて、とんでもない危険を冒さないでください。
民主党が勝つためには「投票に行く人の数」を上げることが重要だが、
選挙に行かない人のインサイトは「自分が一票を投じたところで、
全体には大して影響がない」つまり自分にとっての「関与度が低い」と
思っている可能性が高い。
そのインサイトに対してDDBが出した結論は、
争点を「原爆」に搾りきりターゲット自身にとっての「生命の安全」
という問題に見事に置き換えたのである。
今で言う2ちゃんねるの「祭り」みたいな状態を作り出せたのだろう。
そりゃ選挙に行くだろう。
バーンバックの名言を集めた小冊子があるのだが、その中に
以下の発言がある。
◆プロとしてマスメディア使う人間は皆、社会に影響を与えます。
社会を通俗化することもできますし、非道に扱うこともできます。
同時に、より高いレベルに引き上げることもできるのです。
バーンバックは上記のTVCMによって社会を高いレベルに
引き上げることに成功したのである。
今週は5日間にわたってバーンバックおよびDDBの偉業を
ご紹介してきました。
私は今から10年くらい前に会社の図書室で偶然に
「繁栄を確約する広告代理店DDB」という本を見つけて読みました。
その本は、かなり深い洞察とリサーチに基づいて書かれていて
感動しまくったのですが、その作者である西尾忠久さんが
現在ブログをやっておられていて、その中にめちゃめちゃ感動する
メッセージがあったので今回、西尾さんに許可を頂いたので
扱わせて頂きます。
※『創造と環境』西尾忠久さんのDDBに関するブログ
http://d.hatena.ne.jp/chuukyuu/
西尾忠久さんは1930年生まれで、日本デザインセンターを経て
1964年年アド・エンジニアーズ・オブ・トーキョーを設立。
TCC(東京コピーライターズクラブ)で殿堂入りもされている
偉大なクリエイターです。
またDDBに関する書籍を多数執筆されておられて、
比ゆではなく私の10万倍くらい知識と見解をお持ちなお方です。
私は西尾さんがTCC殿堂の表彰される時のスピーチを
現場で聞いておりましたが、信じられないくらいカッコイイ内容で
日本にこんなカッコイイ大人がいるんだーって思いました。
以下、西尾さんのブログより抜粋。泣けます。
『40年前、DDBは、希望の星でした。
DDBのように自分の才能を花開かせることができる---と、
多くの有為の若者が広告界に入りました。
そして、何人かの〔個人〕はクリエイティブの花を咲かせました。
しかしそれは、DDBのように組織や環境ではありませんでした。
そして、どこからともなく、DDBのようにはいかないという
地の声がうなりのように聞こえるようになり、ぼくは背を向けて、
別の分野へ去りました。それから30数年たちました。
先日、DDBのについて40年前に書いた幾冊かの著書を開いて、
自分の過去の文章に躰が震えました。
「日本の広告界は、いまこそ、DDBを必要としている」---と、
勝手に思いました。それで、ブログを立ち上げて、何人でもいいから、
DDBを日本に根づかせる試みをやらないと、
広告に携わっている人たちの自尊心が満足できまい、
とおもったのです。ささやかな、老骨の抵抗です。』
以上、個人的には大変こころを打たれる内容だと感じました。
広告界が本当に発展するには、
突出した個人が出現することやクレイジーな表現が出てくることでなく、
消費者・クライアント・広告マンの3者が幸せになる
「システム」の構築が重要であるということを
西尾さんのメッセージを見て感じました。
バーンバックは、コピーやプランを自分では書かなかったらしいですが
彼にとっての作品は「創造的な人間の集団」そのものだったと思います。
DDBは当時クリエイターにとってパラダイスであったが、
バーンバックがつくったのは、ただ好き勝手に広告をつくる
自由な集団などではなく、
クライアントのことを徹底的に真剣に考えた上で発揮する
「訓練されたクリエイティビティ」を磨きあげる集団であったと思う。
バーンバックの逸話で、常に「相手が正しいかもしれない」と
書かれたカードを持ち歩いていた、という話があるが
これだけの人物を持ってしても「相手のことを考える」ことは
人間にとって難しいものなのであろう。私自身も気をつけていきたい。
最後にバーンバック語録の中で個人的に特に好きなものを3つご紹介します。
◆魔法は商品の中にあるのです。
◆きわ立つように広告をつくる。
しかもその特異点は製品利便から出てくるべきものである。
◆人を動かす気持ち、人の行動を支配する感覚。
何が本当の動機かを時にはカモフラージュすることもありますが、
効果的なクリエイティブ哲学のコアにあるものは
人のインサイトほどパワフルなものは無い。
なお本日は金曜ですが、バーンバックの最終回をまる一日は
トップにもっていきたいことと、明日は会社に出ることになったため、
土日分は明日の土曜に投稿します。
2007年8月16日木曜日
ビル・バーンバック④DDBの偉業。
世に送り出しましたが、本日は超個人的な趣味で
3件の事例をご紹介します。
まずは「オーシャンスプレー・クランベリージュース」の
めちゃめちゃクールなTVCM事例。
このジュースはオレンジとクランベリーがミックスされたジュース。
CMでは、まずオレンジを切って搾るところから見せていく。
そして次は、クランベリーなのだが・・・
クランベリーを切ろうとするがなかなか切れなかったり、
搾ろうとしても転がり落ちたりする。
つまり家庭でクランベリージュースをつくる苦労を
これでもかという感じで視覚的に強調しているのである。
超クールな側物表現である。
次に実証広告のバイブルと言われる
「アメリカンツーリスター」の旅行トランクのTVCM。
頑丈なスーツケースである、という点を実際にゴリラに
スーツケースを手渡しぶん投げまくってもらうことで実証する
ラディカルなテスティモニュアル(実証)広告。
N「乱暴なタクシー運転手。そそっかしいドアマン、いつも忙しい
ポーター、いいかげんな手荷物係というようにスーツケースを
粗末に扱う人は世界中いたるところにいるのです。
私たちは、どんな扱いにも耐えることのできるスーツケースを
つくっています。」
3つ目がモービル石油の事例。
2007年8月15日水曜日
ビル・バーンバック③エイビス
フォルクスワーゲンに続いてDDBが世の中を騒がせた
キャンペーンがレンタカー業界2位の「エイビス/Avis」である。
1960年当初、エイビスは1位のハーツに
大きく引き離されていたが、DDBはこの「2位である」ことを
逆手にとった広告を開始した。
キャッチコピーは
「エイビスはレンタカー業界2位です。
私たちの車に乗る人はいるのでしょうか? 」
メッセージは、
「私たちは2位です。だからがんばります。」というもの。
実際Avisの店員たちは「We try harder.(がんばります)」
と書かれたバッジをつけて働いていた。
このキャンペーンによりエイビスは2年間でシェアを
28%伸ばしたが、自社の欠点とも言える「2位」という
訴求点は当初、役員会のメンバーの大半が大反対していた。
以前ご紹介したアップルのCM「1984」同様、
自社の急成長をになう広告は、案外クライアント自身が
拒絶しやすいということを象徴している例である。
自分のことを自分自身では結構わからない、という
人生の皮肉でもある。
このエイビスの新聞広告シリーズは他にも
コピーライターが「エイビスの車が汚れていた」ことに対して
「これじゃあコピーも書けない」的な文句を言うものなど
トリッキーなものが数多くある。
またエイビスもワーゲン同様エキセントリックなTVCMを実施。
(残念ながら映像は手に入りませんでした)
横柄な感じがする男性が、ひたすらこちらに向かって
挑戦的なしゃべりをする20秒CM。
当時のアメリカはカラーCM全盛の時代であったのだが
エイビスは「広告費にお金をかけている場合じゃない」という
印象を与えることも含めて、モノクロで男がひたすら喋り続ける
というワンカットCMを制作。
以下ナレーション。
「エイビスは、たしかにナンバー2です。
でも、かわいそうだから借りてやろうなどとは
決して思わないで頂きたい。
もし、車がきたなかったり、手続きがモタモタしていたら、
容赦なくエイビスをつぶしてください。
何のとりえも無い2流会社などアメリカではいらないのです。 」
最後の1行がスゴクないですか?
かなりクールなナレーションである。
話は若干変わるがDDBは「CD(クリエイティブディレクター)」
という概念を初めて使用した広告会社であると同時に、
コピーライターとアートディレクターによる協同の
広告制作システムを編み出したことでも知られる。
それまでの広告界では、コピーとアートは完全に
セクショナリズムで独立しており、流れ作業の様に
機械的に広告を制作していたが、
バーンバックは、このシステムを破壊して
より創造的な広告が生まれる環境をつくり出した。
そして同時にバーンバックは人材育成にも
驚異的な才能を発揮して、ワーゲンやエイビスのアートを
担当した「ヘルムートクローン」や、
稀代の天才AD「ジョージロイス」を排出。
ロイスは当時彼が担当することが決定したクライアントの
株価が上がったほどのADである。
またロイスはDDBをやめて「PKL(パパート・ケーニグ・ロイス)」
という優れたクリエイティブエージェンシーを設立。
PKLの様に3人の人物の名前の頭文字をとった会社名は
当時無数に存在したが、初めて使用したのは
おそらくDDBだと思われる。ちなみに書き忘れたがDDBは
(ドイル・デーン・バーンバック)の略であり、
営業と財務とクリエイティブの3人で始めた会社である。
現在でもXBOXのCM等で有名なBBH(Bartle Bogle Hegarty)や
ヨーロッパの炭酸ジュース「タンゴ」のCMで有名な
CHI(Clemmow Hornby Inge)も頭文字系である。
※この2社は、そのうちこのブログで扱います。
明日はDDBの偉業である3社の事例をご紹介します。
ヘルムートクローン
ジョージロイス
2007年8月14日火曜日
ビル・バーンバック②フォルクスワーゲン
1959年から始まったフォルクスワーゲンの伝説の
広告キャンペーン。その中で最も有名な広告が
この「Think small.」である。
当時のアメリカ国内においてワーゲンは、
敗戦国であるドイツからの輸入車というイメージが強くあった。
しかも当時はいかにもアメリカ的な大型車が主流だったのに対して、
ワーゲンは「こじんまりとして不恰好な車」ともとられていた。
また当時のアメリカは戦争に勝ってイケイケな状態で、
「大きなものは良いに決まっている」みたいな価値観を
誰もが信じて疑わない時代でもあった。
その中でワーゲンは「小さい車の価値」を通じて、
アメリカの乱暴な思想そのものを批判する広告を実施した。
時流と正反対のことを、しゃあしゃあとやり切ったのである。
しかし当時のアメリカのやり方に疑問をもつ人々は
少なからずとも存在しており、その人たちを中心にワーゲンは
上っ面なイメージよりも実質性のある自動車で、
ワーゲンを選ぶ人は他のアメリカ人とは違う賢い消費者だという、
商品の所有を超えた理想的な人間像イメージの獲得という
高次元のブランディングも成立させていったのである。
「Think small」の次に有名な広告が以下の「Lemon」である。
美しいワーゲンの写真につけられたヘッドラインが
「Lemon:不良品」。
一見、完全に見える製品であったとしても
実はかなりこだわってチェックしていて、
ちょっとしたミスがあってもワーゲンにおいては
「不良品」扱いになるというメッセージである。
当時のアメリカの自動車広告は、勢いづいたデトロイトの
ノリをそのまま引きずった「超いばった広告」かもしくは
にっこり笑ったモデルが前面に出る「虚飾に満ちた広告」が
ほとんどであったが、ワーゲンの広告は
「実体の伴った正直な車」という誠実なイメージを獲得して、
他の自動車広告をあざ笑うかの様にひとり勝ちしていったのである。
ちなみに売り上げ的には1958年のワーゲンの販売台数が
年間7万8千台のだったのに、7年後の1965年には35万台に
(4倍以上)増加している。
ワーゲンはグラフィック広告だけでなくCMも当時からすると
シンプルでアヴァンギャルドなものであった。
このCMのストーリーは、同じく3000ドルを所有する2軒の家を
比較したものである。
左の家のジョーンズさんは、3000ドルでアメリカ的大型車を購入。
右のクレンプラーさんは、3000ドルで新しい冷蔵庫と電子レンジと
食器洗い機と乾燥機とステレオとテレビ2台と「フォルクスワーゲン」を
購入した、という内容。
今流してもクールなCMであると思う。
次のCMも、かなりクールである。
深い雪の中で「除雪車」を運転する人が、除雪車置き場まで
たどりつくのに乗っている自動車が「フォルクスワーゲン」である
というものである。
両CM共に演出がかなりクールであり、当時はCMが始まったのか
どうかも良くわからないで映像に引き込まれていく感じだったらしい。
明日はワーゲンに続くDDBの代表作、
レンタカー「Avis」の事例をお届けします。
2007年8月10日金曜日
ビル・バーンバック①
全然「日刊」じゃなくて申し訳ございませんが、
今週はお盆で月曜は休みですので月曜分も投稿します。
今週は「お盆」ということでもあるので、
5日間にわたって広告界の偉大な故人をしのびます。
第1回の今年は「ビル・バーンバック」。
ビル・バーンバックはDDBという広告会社の創始者で、
世界広告史に残るクリエイターです。
DDBはカンヌ獲得総数歴代No.1で
世界で最もクリエイティブな会社と言われています。
バーンバックはアドエイジ誌が選ぶ「20世紀の
全ての広告人の中で最も偉大な広告人」の
第1位に選出されてます。
彼は上記のアップルThinkDifferentシリーズにも登場。
この広告の制作はTBWAであり、
同じオムニコムグループとはいえ別の会社の創始者を
広告に起用するところを見ると、バーンバックは
会社の壁を越えてあらゆるクリエイターにリスペクトされている
スーパークリエイターなのであろう。
私も個人的にバーンバックをかなり尊敬しており、
書籍やネットで彼のことを調べられるだけ調べたが、
驚くことの連続だったので、今週はあと4回にわたって
彼の偉業を紹介していきます。
ムカつく貼り紙。
アメリカ史上最高のTVCM。
本日はアドエイジで「アメリカ史上最高のTVCM」に選ばれた
アップル・マッキントッシュ伝説のTVCM「1984」の事例。
オーウェルのSF小説「1984」をベースに、
進化はしたけど人間にとって抑圧的な社会という設定のCM。
タイトル通り1984年のスーパーボールで1回だけオンエア 。
(若干、地方局でも流したらしいが)
多くの人々が体制側に支配・管理され、
抜け殻の様な生活をしている架空の未来を描いている。
ちなみにこの体制側とは当時コンピューター業界で圧倒的なシェアを
ほこっていたIBMを象徴している。
その退屈な社会に一人の革新派の女性がハンマーを持って現れ、
指導者の映像を破壊する、という内容。
もちろんこのハンマーの女性が「アップル」の象徴。
当時においてはかなり革新的だったマッキントッシュの発売を訴求。
制作はこのブログでもおなじみのTBWAシャイアットデイだが、
このCMはアップルの役員会でほぼ全員がNGを出して
お蔵入りになりかけた。しかしアップルの社長「スティーブジョブス」の
強い推薦によりオンエアにこぎつけ、たった1回流れただけなのに
アメリカ国内で異常なくらい話題になった。
クライアントの大半がNGを出したCMが
アメリカ史上最高と言われるものになった、というのが
ある意味で象徴的ですらある。
TBWAのリークロウの発言に良く出てくるフレーズとして
「ルールを変える」「破壊」「民主化」の3つ挙げられるが、
TBWA社だけでなくアップルも、この3つのワードを
実際に具現化している企業である。
iPod nano遊べるWeb広告。
本日は金曜ですが来週の月曜に私はお盆で田舎に帰るので
4件まとめて投稿します。
これは以前日本でも流れていた「iPod nano」のTVCMだが、
このCMと連動したWeb広告が同時期に実施されていた。
↓Click here
http://www.bannerblog.com.au/2006/09/apple_ipod_nano.php
このWeb広告は、1分間は楽しめる内容だし
TVCMともきっちり連動しているのだが、
アップルのもつクールなブランド世界を
若干踏み越えている感じもする。