2007年7月31日火曜日

iPodソックス




iPhoneで話題のアップルだが、以前にこんなシュールなブランド展開を行っていたことがある。iPodのカラフルなデザインとひっかけた「iPodくつ下」。俗に「ブランド拡張」を行う場合は、既にあるブランドイメージをしっかり守りながら行うべきで(著名マーケッターのジャックトラウトなどは、いかなる場合でもブランド拡張は一切してはいけない、とも言い切っている)関連性が甘いブランド拡張は、どんなにユニークであってもすべきではない。このソックスはマニア受けはいいだろうが、ブランド的な観点から考えると厳しいと言える。アップルらしくない事例。

2007年7月30日月曜日

バイラルCM





「バイラルCM」とはインターネット上でCM映像を伝播させる新しい広告手法。YouTubeなどの動画共有サイトを通じて、媒体費用をかけずに多くの人々に映像を見せることが可能。最近では、昨年のカンヌサイバーライオンのグランプリ「StillFree」の様にCM映像上では企業名を一切明かさずに、うわさが広まった後に広告であることを表明する「ステルス型」と呼ばれる手法が多く見られた。「広告」臭がするとネットユーザーは敏感に反応して拒絶するからだと思われる。しかし、この「ローラーコースター」の事例は、ラストカットでタグラインや企業ロゴが入る従来型CMと同様の構成である。だが、圧倒的な映像のインパクトとユーモアにより、広告であろうとなかろうとイイものはイイという感じで、広まっていったのだろう(私もこうしてブログで紹介しているわけだし)。ちなみに「HYDRO」とは石油企業で、このバイラルCMの目的は子供たちに科学のすばらしさを教えるというもの。精度の高いCGをハンディカムの荒い映像で表現するという手法は、まだまだいけそうな感じがする。

2007年7月27日金曜日


食パンの雑誌広告。訴求点は「おいしい食パン」。深い戦略など微塵にも感じさせないが、すさまじくバカバカしいビジュアルにより「おいしい」ということはしっかり表現できている。

いばる広告

このブログは「日刊」をうたってますが、私の家には今時パソコンが無いため、 (そのうち買おうと思ってます)しばらくは金曜に土日分も合わせた3件投稿します。

このブログでは優れたOOHやグラフィック広告事例を紹介するだけではなく時には問題点のある広告についても検証する予定で、第1回目は「キャデラックのOOH」事例。






このOOH広告には少なくとも2つの大きな問題点がある。1つ目の問題点は「中途半端」であること。自動車だかなんだかちょっとわかり辛い。そして2つ目の問題点は広告全体の印象として「いばりくさってる」ことである。

確かにキャデラックはアメリカ人にとってステータスのある車かもしれないが、昨今の消費者心理は「威張った車には乗りたかったとしても『これ見よがしなのはイヤだ』」ではないか。少なくとも日本人の多くはそうだと思う。いばった自動車に乗ること自体は悪いとは思ってなさそうだが、広告で「いばりイメージ」が助長されるのは気恥ずかしくなる気がする。これは矛盾したキモチだが人間にはそういう傾向があるのではないか。

アメリカ人は日本人よりもその辺の感覚が大雑把な気もするが、さすがにこのOOHは受け入れがたいのではないか。

広告先進国イギリスのクリエイターが以前、以下の様に発言していた。“消費者は大手広告主がスゴイ会社であることは「百も承知」であるので、広告においても自画自賛するような「オレってスゴイだろ?」的な広告をやられるとドン引きされてしまう。だから偉大な商品ほど少し自虐的なくらいな広告をやった方が消費者からは好感をもたれる”と。

広告は広告主から多額の広告費をもらって制作するから、ついつい気合の入った押しの強い表現になりやすいが、ちょっと力を抜いた表現の方が受け手には届きやすいということをこのOOH事例が逆に教えてくれる。

2007年7月26日木曜日

はみ出す広告3

今日もはみ出す広告の事例「アップルiPodのフラッシュバナー」。
http://www.bannerblog.com.au/2006/05/apple_ipod_itunes_ro.php
iPodの広告はただでさえクールなのにこのバナーは輪をかけてクール。 クールである理由の一つにはバナー広告の定型枠からカゲ人間が「はみ出しまくる」点にある。

TBWAシャイアットデイ社の広告開発メソッドに「ディスラプション(破壊理論)」 というものがある。これは既存の常識である「コンベンション(慣例・ならわし)」をたくさん挙げて、その中の要素を常識にとらわれずに破壊することで、他の広告とはまったく違う見え方をするというもの。 アップル「ThinkDifferent」やアディダス「Imossible is nothing」もディスラプションに基づいて制作されている。










人間は、さまざまな常識をたくさんストックしながら生活しており、例えば広告枠のスペースに関しても、屋外看板は「ここからここまでの枠に存在する」とかバナーは「この枠の中に広告がある」という様にある種のルールが脳内に固定している。しかしクリエイティブ表現においては、そのルールが破壊された時に受け手にとって予想を裏切る表現になったりするため、制作者は広告制作時に限らず常識を常に疑ってかかる「破壊的なメンタリティ」をもつ必要があることをディスラプションから読み取れる。ipod看板やバナーのように定型広告枠から「はみ出す」こともディスラプションの精神のあらわれの一つであり、広告だらけの世の中で他の広告とは違ってしっかり受け手に届くものになる。(中身のないディスラプションは気をつけるべきだと思うが)

【おまけ】







この画像はたまたまネットで見つけたものだが、これも新手の「はみ出す手法」。画面とツールバーという独立している世界がつながることで異様なインパクトを生むという好例。

2007年7月25日水曜日

はみ出す広告2


昨日につづき「はみ出す広告」の事例。 アメリカのドッグフード「ペディグリーチャム」の屋外看板。犬がボールに飛びつくビジュアル。ボール部分が看板から分離していることで不思議なインパクトをかもし出している。













この広告を制作したのはTBWAシャイアットデイ。同社のクリエイティブディレクターの「リークロウ」氏は昨日のアップル「iPod」や「ThinkDifferent」そしてアメリカ広告史上伝説となっているアップルのTVCM「1984」、Adidas「Impossible is nothing」などを手がけるスーパークリエーター。元々ヒッピーでシャアット社に入るために何度も何度もしつこく通いつめたとのこと。元ADだったがコピーの原案も彼自身が書くらしい。 アップルのCEO「スティーブジョブス」氏は、天才だが大変ヒステリックで気難しい人物で、リークロウは錯乱した彼をなだめることができる唯一のクリエーターらしい。自分のプロフィール写真にアップルのデザインのサーフボードをもつあたりは、日本人の感覚には無い良くも悪くもイカしたセンスである。

2007年7月24日火曜日

はみ出しすぎ

iPodのアメリカでの屋外看板。最近は日本でも看板の枠からはみ出すデザインの広告が時々見られるようになったが、この看板は少しはみ出しすぎ(はみ出すことでインパクトや注目率が上がるのはわかるが)。本来の広告スペースよりも、はみ出しているスペースの方が大きいというシュールな構成。木の中から巨大カゲ人間が出ていて、実際に見かけたらかなりのインパクトがあり、トラウマになる人もいると思われる。

2007年7月23日月曜日

空手教室

空手教室の雑誌広告。ターゲットのインサイトや深い戦略は感じないが、課題の特長をかなりバカっぽく表現するだけでも興味をひき印象に残せる事例。

2007年7月22日日曜日

虚構と現実


最近見た広告の中で一番バカバカしかった広告。ペンキメーカーの屋外看板の写真から流れ出たペンキがビルの壁面を伝い、実際に駐車されている自動車に思いっきりかかってるという壮大なOOH広告。くだらないことも、ここまで大掛かりにやれば破壊的な力をもつ好例。広告看板という架空の世界と、実際に自分が暮らす現実社会が「ペンキ」なんかでつながるという、これまたバカバカしくも印象深いクリエイティブ。