2008年7月31日木曜日

ジェットコースターOOH。

本日は遊園地のOOH事例。
エスカレーターを活用して「ジェットコースター」を表現。



日本でもエスカレーターの手すり部分に
広告を入れた事例はありますし、
駅の階段ではステップ部分に広告を入れる事例もありますが、
エスカレーターではステップ部分の広告は見た記憶が無いので、
やったもん勝ちな気もします。

2008年7月30日水曜日

スゴイ冷気。

本日は「ICEビール」の店頭ツール事例。



店頭に積み上げているダンボール箱の中に
「冷気の様な煙」が出る装置を入れることで
「スゴイ冷気が放たれる」とっても冷えたビールであることを訴求。

店頭でかなりのアテンションを獲得できることが予測されますし、
同時にこの「ICEビール」という商品にとっての
「しかるべきシズル感」も醸成できる気がする
優れた店頭ツール事例。

2008年7月29日火曜日

キッチンペーパーの雑誌広告。

本日は良くふきとれる「キッチンペーパー」のグラフィック広告事例。



オリーブオイルをこぼした部分が、ブロックごと無くなるという
ビジュアルにより、そのくらい「ふきとることが出来る」ことを訴求。

この広告表現は個人的には好きですが、
さすがに「マニアック過ぎ」な気もします。

2008年7月28日月曜日

風情がある交通広告。

本日は、博報堂のクリエイター「福岡正章」さんが制作されて
7月に「西武新宿線」で実施された「エスエス製薬ハイチオールC」の
交通広告事例です。

福岡さんは、ニッテンアルティというCM制作プロダクションで
CMプロデューサーをされている「竹村さん」からご紹介頂いて
先日一緒に飲みに行かせて頂きました。

福岡さんは昨年のカンヌ広告祭で「マイクロフソフト」と
「ミニッツメイド」の2つのお仕事で
脅威のダブル受賞をされているスゴイお方です。

この交通広告は、電車車内の窓についている日よけを下ろすと
そこに「さあ来い、太陽。シミ・ソバカスにはハイチオールC」
というコピーと共にカゲで表現された「夏」を象徴する
ビジュアルが現れるという内容です。











海外の事例ではなかなか見られない日本独自の文化である
「わびさび」が表現されていて
「風情」を感じる優れた事例だと思いました。

2008年7月27日日曜日

環境OOH。

本日は、環境系のOOH事例。
路上にある「排水溝」の周辺に「ペリカン」などの
「イラスト」が書いてあることで、
人間が道端に流すジュースなどの液体が、
「排水溝」を通じて川や海へと流れ出て、
やがては水辺の動物たちの口へとつながって
害をおよぼしていくということを訴求。

抑止効果が高そうな優れたOOH事例である気がします。

2008年7月26日土曜日

犯罪系OOH。

本日は海外のマフィア系テレビドラマ「ザ・ソプラノズ」の
過激なゲリラOOH事例。



あたかもタクシーが「死体を運んでいる」様に見せることで
過激なクライム系ドラマであることを訴求。
この事例は日本でも出来そうな気もしますが、
もしやったら誰かに怒られる様な気もします。

2008年7月25日金曜日

消費者インサイト⑤「IKEA・CM③」

「消費者インサイト」特集、最終日の本日は
IKEAの2本のTVCMです。

1本目はシンガポールで制作されたCMです。



このCMの場合は「消費者インサイト」というよりも
「クリエイティブインサイト」的な事例な気がしますが、
「TVCM」という「企業が自慢をする」ことが前提となった場で
「部屋が見ちがえる」という点をそのまま訴求しても、
信じがたい感じがするので、「子犬」という別の視点を通じて
カワイク「部屋が見違えった」ことを訴求することで
ターゲットにとって受け入れやすく変換しています。

2本目は、このブログでも何回か扱わせて頂いている
CP+B制作による「LUMP」篇。



このTVCMに関して、クリエイティブ・ディレクターの
アレックスボガスキー氏が以前「広告批評」でインタビューに
答えられていまして、この内容が大変素晴らしく
「消費者インサイト」や「プロポジション」を含む
「クリエイティブブリーフ」の様な内容になっていますので
ぜひともご覧いただけますか。

IKEA「LUMP」TVCMについて
アレックス・ボガスキー/クリスピンポーターボガスキーECD


そこで発見したことは、どの家にも必ず、
誰もが厄介に思っている家具があるということだ。

なぜ厄介かというと「おばあちゃんがくれたから捨てられない」
という、ある意味家具とは関係のないヘンテコな理由が
つきまとっているシロモノだから。

アメリカにはインテリア番組や雑誌が山ほどあって、
しょっちゅう家に注意を払っているのに、
家具のことは脅迫観念に近い感情で接している。
それって超ツマラナイ、退屈なことだろう。

クルマなら値段が高くても、買い替える習慣が定着しているし、
ある意味ファッションの要素がとても強い。
ストーブや冷蔵庫だって、もはやファッションだ。
でも家具だけが進化しなかった。

それが退屈であることは薄々気づいているのに、
社会心理のせいでしかたないと諦めるのが一般的なんだ。

だから、古いランプが家の前に捨てられて、
雨に打たれている情景を見ると、
ある種の罪悪感にかられてしまうんだね。

だったらイケアの広告がやることは、
退屈なことは退屈だと言っていいんだという
許可を与えてあげることじゃないかと思ったんだ。

誰がくれた家具であろうと、罪悪感と戦う必要はないんだと。

こういう家庭事情を考えていくと面白いことが見えてくる。
捨てられなかった家具は親が子供たちにあずけることで、
自らの肩の荷を下ろすんじゃないか。

で、親が楽になると同時に子供の代の苦しみが始まるんだ。

僕らはこれを「家具における恒久性」と名づけて、
このループからみんなを助け出そうと思ったんだ。


個人的にはこのインタビューでボガスキー氏が語っている内容は
「これぞ消費者インサイト」「これぞアカウントプランニング」
という風に感じました。

消費者インサイトは「定量調査」よりもはるかに直感的で、
その意味ではかなり「クリエイティブ的な領域」である様に感じます。
そのため「科学性」がうすいのでビジネスにおける地位が
獲得しにくいと思います。

しかし青山学院大学の小林保彦教授が友人の物理学者に
「物理学の世界でスーパーコンピューターを10台ぐらい
使ったら消費者がつかまえられないか」とたずねたところ、
「変数が変数を呼んで、次の違う変数を作っていくだけだ。
それよりは高給を払って勘のいい人を雇った方が絶対に得だ」
と言われたそうです。

著名なアカウントプランナーの「ジョンスティール氏」いわく、
広告は科学みたいなものでとらえられるような
小さなモノではない。

と言っていますが個人的には同感です。ただし・・・
しかし芸術でもない。
とも言っています。

DDBの創始者「ビル・バーンバック氏」は
広告を「説得のアート」と呼びました。

世界最高のマーケティング力をほこる「P&G」も
最近では「ガッツフィーリング(直感による仮説)」から
プランニングを始めるそうです。
やっぱり直感は大事なんだと思います。

ビジネス界は「数字」などの様に「具体的に計測できる」ものだけを
偏重する傾向が強い気がしますが本当にビジネスパワーがあるものは
「数字」や「前例」から漏れるものであることが多い気もします。

現状のビジネス界では「測定できるもの」と「できないもの」との
「価値のアンバランス」が問題であると思います。

商品の「回転率」や「利益」を測定するには
「表現パワー」などの感覚値的な要素は
全体から切り離して断片化するしかありません。
そのため「効果」を問うことをやめて数値で把握しやすい
「効率」競争に陥るのだと思います。

そして「机上の空論」に基づいた戦略や広告表現が生まれ、
広告の奴隷を大勢生んでしまっている気がします。
広告戦略の川上からボタンのかけ違いが起きている感じがします。

個人的には今こそ世界のビジネス界で長いこと忘れ去られている
「ヒューマンタッチ」を取り戻し「人間中心の市場」を
つくり上げる時期であるように感じます。

そしてそのルネッサンスのカギは「アカウントプランニング」にあり、
その中核を担うのは「他者を配慮」して「真の人間の気持ち」へと迫る
「消費者インサイト」が重要である気がします。

アカウントプランニングは、世界的には流行が終わり、
日本的には導入に失敗したため「使えない概念」と
思われている様な気がしますが、
個人的にはポテンシャルがある気がしてなりません。

2008年7月24日木曜日

消費者インサイト④「IKEA・CM②」

「消費者インサイト」特集、4日目の本日も
IKEAの「インサイトフル」なTVCM事例。

若干内容がわかりづらいので先行して内容を
書かせていただきます。

キッチンで激しく口論する夫婦。
妻「あんたが外に出られるのも私が家を守ってるからよ!」
夫「何だと!」
そこにIKEAの店員が「で、どうですか?」とたずねる。


つまりIKEAの製品展示は「リアルな部屋」の様に
ディスプレイしているので「つい本当に自分の家にいる錯覚に陥る」
ということを「大げさ」かつ「くだらなく」表現しています。



昨日も書かせて頂きましたが、このCMの表現以前に
「実際の部屋の様な製品展示」そのものが
「消費者インサイト」精神に満ち溢れたものであると思います。

そしてCM表現に関してもユーモアを交えて大げさに表現してますが
実際に店頭でも(当然このCMほどではありませんが)
本当に部屋っぽかたっし、ソファーに座ったりしていると
本当にくつろぐ感じもしました。

明日もIKEAのTVCM事例です。

2008年7月23日水曜日

消費者インサイト③「IKEA・CM①」

「消費者インサイト」特集、3日目の本日は
IKEAのインサイトフルなTVCM事例です。

まずCMを2本ご覧ください。
ちなみにタグラインである「Tidy up.」とは
「片づけよう」という意味です。





このCMではIKEA製品の中でも「収納系」の家具に限定して
「整理しよう」ということを訴求していますが、
「整理しよう」という「ターゲットに“思ってもらいたいこと”」
(パーセプションゴール)をそのまま訴求するのではなく、
「整理せねば」と「ターゲット自身が“自発的に”思ってもらう」ために
「部屋が散らかった状態でヒドイ目にあう」ことで
「整理することの重要性を痛感する」という

プロポジション(訴求点・販売命題)を導き出した上で
それをオモシロ表現で事件にしています。

特に日本の広告では「プロポジション」を導き出さないで
「パーセプションゴール」をそのまま連呼するか
コマソンにするか旬なタレントに言わせるかもしくはオモシロ表現で
置き換えるなどの「プロパガンダ的」に脳内に焼き付ける手法が
とられることが多いですし、その方が手っ取り早くて効果的なことも
多いとは思いますが、しかしこのやり方だとかなりの媒体量が
必要である気がします。

またプロパガンダ的手法は、本当は瞬間的な売上こそ伸ばすけど、
長期的に積み重なる「持続可能な」ブランド要素を
ターゲットの脳内に残すのには不向きな気がします。

上記のIKEAのCM事例における「プロポジション」である
「散らかった状態でヒドイ目にあって初めて整理の必要性を感じる」
という点は、個人的にも共感できる気がします。
私自身も「片づけよう」と思う時って友人から借りたCDを
自分の部屋に放っておいて、踏んづけて割ってしまったなどの
「罰」を受けた状態でないと、なかなか「片づけよう」などとは
思いにくいので、ネガティブ訴求ではありますが広告上では
その「ネガティブな状態を顕在化」させるという手は
アリな気がします。

昨日のIKEAの「店頭」事例の様な「購入に近い場所」と違って、
テレビCMは「購入から遠い場」であるため、
「店頭」でのコミュニケーション話法とは
「異なった話法」が必要であることが多いと思われます。

CMは「限界があるコミュニケーション形態」だと思いますので、
「訴求する内容」は基本的に「1つ」が望ましい気がします。
欲張ってメッセージを詰め込み過ぎてもオーバーローディングに
なって何も伝わらない可能性もある気がします。
「2兎を追う者は1兎も追えず」だと思います。

テレビCMにおける訴求点は店頭の様に「アジテーションが強い内容」
というよりは「購入のきっかけ」や「ブランドの存在意義」を
1点に絞り込んで楽しげに伝える方が効果的である気がします。

IKEAは「店頭」と「CM」の役割をしっかり踏まえて
非常にクレバーに制作物を作り分けている感じがしますし、
ただ単にオモシロおかしい広告が好きなクライアントなのではなく
「広告戦略上」の「道具」として「ユーモア」を巧妙に使い分けて
活用している企業であり、その根底には「店頭」と同様に徹底した
「消費者インサイト」という「他者理解・配慮」の精神が
満ち溢れている気がします。

2008年7月22日火曜日

消費者インサイト②IKEA「店内」

消費者インサイト特集、2日目の本日は
スウェーデンの巨大家具流通チェーンで
「インサイト精神」のかたまり的な企業「IKEA」の「店舗」事例。

【IKEA幕張店】


【日本の住宅事情を熟慮した商品ディスプレイ】


外国から参入してくる企業は、とかく自国の事情や
インサイトをそのまま流用して大失敗するケースが結構多い
気がしますが、IKEAは店舗内の随所に日本人の生活動向や
消費者インサイトを徹底的に追及した痕跡が見られました。

IKEAの売り場は、元々ただ単に家具を配置するのではなく、
「実際に部屋に家具を置いた感じ」をイメージしてもらう様に
売場を細かく分割して「リアルな部屋」をつくり、
そこに家具を配置することでお客さんが「自分の部屋」に
家具を置いた時の「イメージをしやすく」しています。

その「部屋的ディスプレイ」に関してもIKEAは日本の消費者に
対するインサイトをしっかりしていて、
上の写真の様にベランダでくつろぐ提案をするディスプレイも
べランダがかなりリアルな感じで「狭く」表現されているのです。

この「狭さ」は日本の住宅事情を考えるとかなり現実に即していて、
その「狭いベランダ」に置ける家具でないと、
ベランダ提案をしたところで、あまり意味がないと思います。

これは当たり前のことの様でいて恐らく多くの外国家具のショップは
この様な「狭っ苦しいディスプレイ」では
アピールしてこなかった気がします。

このディスプレイひとつとってもIKEAは
日本人に対する配慮をかなりしていることが予測されます。

【店内のあちこちで見られるインサイト系メッセージ①】


【店内のあちこちで見られるインサイト系メッセージ②】


IKEAの店舗内には例えば「荷物がたくさん?」などの
「何てこと無いメッセージ」が、あちこちに書かれています。

これらはどうってことないメッセージに思えますが、
IKEAの様に安くて一度にたくさんの製品を買う
可能性があるショップでは、予想以上に買い過ぎることは
案外多いと思います。こんな何てこと無いメッセージであっても
ショップの中の絶妙な場所で、実際にあえて「文字」で
語りかけられると「自分のことをわかってくれるショップなんだな」
という感情がうまれやすい気がします。

ブランドと消費者の好意的な関係をつくるためには
この様に「消費者を理解している」というスタンスを
しかるべき形で伝達するという手法は効果的である気がします。

ですが、この「問いかけメッセージ」は
何でも良いというわけではなく、
IKEAは熟考に熟考を重ねた文章を掲出している感じがしました。

【レストラン内のテーブルやイスも実際の商品を配置】


IKEAは食堂もかなりイイ感じでした。
安いわりに美味しかったですし「北欧調」の見慣れないメニューも
あったりしてイイ感じで「外国気分」が味わえました。

1日中いて、じっくり見る可能性が高いIKEAの様な場所は
レストランはかなり重要な要素だと思います。

そして、その食堂のイスやテーブルに関しても
しっかり「IKEAの製品」を配置していました。
結構な時間座って試せるのでかなり効果がある気がしました。

【地面に矢印を記すことで「順路」を明示】


これも何てこと無い様に見えますが、IKEAの中は
順路が決まった「迷路」の様になっていて、ボーっと歩けば
基本的に全ての製品を見ることが出来るのですが、
一瞬どう歩いてイイかわからなくなることもあります。
ですのでそんな時は「地面のやじるし」はかなりありがたかったです。
これも配慮が行き届いている現れだと思いました。

【商品の耐久性をアピールする不思議系電動オブジェ】


【電動オブジェのアップ:5.5Kgの重さにも耐えられる点を訴求】


【イスの耐久性を表現する不思議系電動オブジェ②】


IKEAの店内では数ヶ所で「シュールな機械」を使用することで
「製品の耐久性」などをアピールをしていましたが、
「こんなアピールの仕方があるのか」と驚いたのと同時に
耐久性に対する「納得度」も結構高かったです。

これも店頭ではいかに家具のデザインが良くても
「何年つかえるかなどの耐久性はわかりにくいので心配だ」という
インサイトを踏まえた上でのアヴァンギャルドな施策だと思いました。

【激安ソフトクリーム¥50】


一通り店内を見終わってレジを出た所に
「ソフトクリーム」や「ホットドッグ」を売っている売店が
あるのですが、値段がどれも「かなり安かった」です。

IKEAでの「買物体験」は一種のアミューズメントパークの様に
楽しく演出されていますが「最後にダメ押す」かのごとく
安くて美味しい食べ物で迎えてくれています。

他にもIKEAの店内には、ありとあらゆる場所で
「消費者インサイト」の形跡が見られましたが
キリが無いので今回はこのヘンで終わりにしますが、
いずれにせよIKEAは世界でも屈指の「消費者インサイト」の精神を
経営の中枢に織り込んでいる企業であり「お客様が大切」と
口だけで言ってるだけの企業とは一線を画する優れた企業で
あると感じました。

明日から残りの3日間は、そんなIKEAのTVCM事例です。

2008年7月21日月曜日

消費者インサイト①

「消費者インサイト」特集、初日の本日は
青山学院大学の小林保彦教授著「アカウントプランニング思考」より
カット&ペーストして「消費者インサイト」とはどういったものかを
大雑把にまとめさせて頂きたいと思っております。
(明日から4日間はIKEAの事例を通して「消費者インサイト」の
 考察をしたいと思っております)



【「アカウントプランニング思考」より】
「消費者インサイト」とは、消費者がそのブランドに対して
どういう意識を持っているのか、どこが好きなのか、
何故そのブランドを買うのか、といったことを探し出す
消費者洞察、つまり「消費者やブランドの中に確実に
存在するが隠れて見えないヒットへの鍵(ボタン)」探しである。

どのような行動様式を持ち、それがどのような価値観から
発せられるのかといった内面までをも「見抜いた」ものが
コンシューマインサイトである。

消費者が意識していないものであっても、
消費者の心を動かし行動に結びつく、
ブランドと消費者の共感点を相互作用的に捉えることである。

これまでの様な目に見える現象を捉えるだけの消費者分析では
コンシューマインサイトを見つけ出すことはできない。

従来の消費者分析の考え方では、消費者を
「論理的に考え合理的に判断する人間」と捉えてきた。
しかし実際の消費者は必ずしも商品を
合理的に評価したり購買したりしない。

購入前に思っていたものとは違うところに魅力を発見したり、
作り手側が想定していない使い方をしたりするといったケースも
数多く見られる。消費者はブランドの価値を客観的な事実として
評価できていないかもしれないし、自分の意識や行動も
自覚しているとは限らないのである。

「ああそうだ、自分がもやもやと思ってきたのはこんな感じだ」
という発見を促す。生活者と商品ブランドの心理的距離を
縮めるものを表現する。「他人ごと」を「自分ごと」に変え、
ブランドと生活者の間に“関連性”(relevance)を築くことになる。

クルマが移動するための機械ではなく「家族の思い出作り」の
ためのものであったり、化粧品で自分の肌をきれいにすることが、
「明日への自己再生」であったり、「再度の社会参加」に
つながったりする。またプレミアムアイスクリームを食べることが、
「タブー侵害の快楽」であり、家庭薬が「母親の愛情の記憶」
だったりするという発見が
ブランド広告表現創造のジャンプ台となる。

定量調査や通常のグループインタビューを否定するのではなく、
それだけでは掴みきれないところに、
消費者の共感を呼ぶポイントが隠れていると考える。

人間という矛盾した塊を対象に、
科学だけでは説明できない情感の世界に入って
その曖昧さを楽しむ。
組織を生き物として生存させる。
それが広告人の楽しさである。

最も大切なのは『実感』だ。『実感』こそ人の気持ちを動かす。

2008年7月20日日曜日

アンダーザレーダー。

本日は、広告に関する「書籍」の事例。
カーシェンバウム&ボンドという
アメリカのゲリラ系広告代理店の先駆的な会社が出版した
「消費者に無視されないアンダーザレーダー型広告手法」の中から
個人的にぐっと来た文章を抜粋して列記させていただきます。



【アンダーザレーダー型広告手法より】
消費者は何かを売り込まれていると気づいたとたんに
レーダーと防壁を立ち上げて、以後は何に対しても
懐疑の目を向ける。

広告主は仕事に際して、たいていは消費者の「懐疑主義」を
考慮に入れていない。

広告らしくするな。戦略を表に出すな。

消費者に押しつけるのではなく彼らを巻き込むことによって、
消費者とブランドの節度ある関係を強化することができるのだ。

大言壮語する人は誰にも好かれない。
同様に大言壮語するブランドや会社に誰が好感を抱くだろうか。

消費者は面白い広告に目をむけ、かつそれを記憶しがちだ。

代理店が会議の席上に持ち込む『異質な意見』こそ、
広告主が広告を自社制作せずに代理店を雇う
何よりの理由なのだ。
『アート』や『異質な意見』を尊重することだ。

この異質性が受け入れられないクライアントは多い。
だから結局は『自分にそっくりな代理店』を雇うことになる。
そして自分達がイメージしてる広告と『瓜2つ』な広告を
作らせてしまうのである。

「客観的な視点」や「反対意見」を封殺することは、
間違いなく「視野狭搾」をまねく。

クライアントは意識的に「自分たちの生き写し代理店」を
雇う『誘惑』と戦う必要がある。

優れた仕事を継続的に実施する方法はただ一つ。
本音を1本に『消費者のそれに』絞ること。

消費者の懐疑主義や抵抗を打ち壊す唯一の方法は、
社内組織を『消費者中心に』構成すること。


明日から5日間は「消費者インサイト」の特集です。

2008年7月19日土曜日

巨大なコカコーラ。

本日は、コカコーラのストリート系OOH事例。



この事例は以前から知っていたのですが
ずっとコカコーラの巨大「立体オブジェ」が道に転がってるのだと
思い込んでいましたが最近知ったのですが、
これは地面に「ペインティング」された
超リアルな「イラスト」なんだそうです。

2008年7月18日金曜日

Watch Hillary falling

本日は、久しぶりに広告と関係ない事例。
ナゾのWebコンテンツ「Watch Hillary falling」。



ヒラリーさんが、風船の様な物体に
ぶつかりながらひたすら落下していくという内容。

ただ落ちるのを見るだけでも楽しいのですが、
ヒラリーさんをクリック&ドラッグして
好きな方向へ放り投げたりすることが出来ます。

動き方が「1/fゆらぎ」的で妙に心地よいので
ぜひともお試しください。

ちなみに来週は月曜から5日間、
「消費者インサイト」に関する事例を取り上げる予定です。

↓ClickHere!
http://adsoftheworld.com/watch_hillary_clinton_falling


2008年7月17日木曜日

空手OOH。

本日は空手教室のOOH事例。





理屈抜きの「バカパワー」であっても
時には効果的なこともある気がします。

2008年7月16日水曜日

血液が足りません。

本日は「輸血を促す」ポスター事例。



赤い文字で書かれた輸血センターの名称と電話番号の
「赤いインク」の「濃さ」が「段々薄くなっていく」ことで
「血液が足りなくなっている」ことを「暗喩」した
かなり創造的なグラフィック事例。

2008年7月15日火曜日

広告系総会(夏)

本日は、先日品川で開催された「広告系総会(夏)」についてです。
このイベントは「広告」に関するブログを書いている方々が集まった
「広告系ブロガー新年会」が元となった巨大イベントです。
主催はインターネット広告業界のカリスマ的な存在である
Googleのタカヒロさんです。
私は途中から参加したこともあり気になった点だけ書かせて頂きます。

気になった点「広告業界の外堀が埋まりつつある感じがした」


ここの所、本や新聞で「インターネット広告の勢いがスゴイ」という
記事を目にすることが多く、もちろん漠然とアタマでは理解して
いましたが、ネット系広告会社で働く大勢の人たちを実際に
目の当たりにすることで、広告市場が「本当に」大きく
「変形」しているということを痛感しました。
着実に広告市場の外堀がネット系の広告会社群によって
埋められていっている様な印象をもちました。

ネット系の広告会社の人たちはこれまでのマス媒体中心の
広告会社のことを「総合広告代理店」とか
「トラディショナル・エージェンシー」という
皮肉が暗喩されている言い方をすることが多いですが、
今回のイベントの約150人の参加者の中で
トラディショナル系の出席者はかなり少なかったと思います。

私自身トラディショナル系の広告会社に在籍しておりますが、
たまたまブログをやっていてこの様なイベントに出席したから
「ネット系広告会社」の勢いみたいなものを
目で見ることが出来たのですが
もしブログをやってなかったら、いまだに実感としてはネット系の
脅威というのは感じてなかったと思います。

トラディショナル系広告会社にはそれだけ過去の成功体験による
慢心が元となった「ネット系とか言ってるけど
これからも俺ら大丈夫だろ」的なイリュージョンが、
かなり存在する気がします。

総合代理店の世界の頂点であるWPPのサー・マーチンソレル氏は
Googleに代表されるネット系広告会社のことを「フレンド/友」と
「エネミー/敵」の造語である『フレネミー』という言い方をしてます。
個人的には敵・味方の様に明確に線引しない方が良いと思いますが
超巨大な広告会社にとって「ネット系の広告会社」は、
この様な「フレネミー」的表現に代表されるような見え方を
しているのだろうとは思います。

そして、新しい発想の様々なネット系広告会社の人たちと話していて
感じたのですが、これまでのマス広告中心の広告市場は、
いろいろと不透明な部分が多かったと思いますが、
ネット系の広告市場においては既存広告会社と「利益衝突」せずに
ロングテール的な「新たなクリエイティブ経済圏」を
築ける予感もしました。

私は大勢の人達がクリエイティブな仕事をして生活できる様な未来が
来ることを願っているのでこれまでトラディショナル系で培った知識を
リセットしてネット系の考え方を出来る限り吸収したいと思います。

あとネット系の人は、現状目に映った世界に疑問をもって
しかるべき未来を切り開いていこうと思う「ビジョナリー」タイプが
多いというのも改めて実感しました。
個人的な意見ですが、世界はビジョンがある人のものだと思います。

2008年7月14日月曜日

8つに割れた腹筋OOH。

本日は「スポーツクラブ」のゲリラOOH事例。



「レンガの壁」の凹凸を利用して「8つに割れた腹筋」を表現。
この広告はポスター「掲出場所」の「形状」ありきの企画ですが、
「掲出場所」をかなり限定するため日本での実施はかなり困難な気がします。

とはいえ海外広告賞の「アウトドア部門」の受賞作では、
こういった「うまく例えました」系のOOHは時々見かけます。

2008年7月13日日曜日

スキューバスクールOOH。

本日は「スキューバダイビング・スクール」が
プールの底に掲出した超マニアックなOOH事例。



「(プールの底にある)この広告を読むことが出来るあなたは
スキューバダイビングの素質がありますよ」という点を訴求。

超マニアックな広告ですので、実際にビジネスの流れで
掲出された広告かどうかは疑問ですが、
もしも自分自身がこの広告をたまたま見かけたとしたら
良くも悪くも「かなりくだらねぇー」と思うことでしょう。

2008年7月12日土曜日

頑丈な車。

本日はフォルクスワーゲン社「Touareg(トゥアレグ)」の
雑誌広告事例。



「トゥアレグ」はかなり頑丈でパワフルなクルマなので
仮に犯罪者が逃亡車として使用した時、
強行突破を防ぐためにはパトカー4台でブロックしないと
防ぎきれないということを表現。

2008年7月11日金曜日

炭酸シズルOOH。

本日は炭酸飲料「シュウェップス」の
「噴水」を利用したゲリラOOH事例。





「シュウェップス」というブランドは「炭酸飲料」の
「中核価値」である「はじける」イメージを強調することが
ブランド維持における一つの有効的な手段である様に感じます。

個人的には、他の炭酸飲料ブランドより「シュウェップス」こそが
「はじけるイメージ」を占有できる可能性が高い気がします。

2008年7月10日木曜日

整理しよう。

本日はイギリスNo.1のスチール製収納家具メーカー
「BISLEY(ビスレー)」のユニークな雑誌広告事例。

左半分で、様々なビジュアルの「正式な形」を見せて、
右半分で、そのビジュアルを「要素ごとに分解」して
「項目ごとに整理」したビジュアルを見せています。

何事も整理すると「キレイに見える」から
「収納家具」を使ってきちんと「整理しよう」という点を
訴求しています。

【イギリス国旗】


【タバコ禁止】


【楽譜】


【地下鉄路線図】


【色覚異常検査表】


多少マニアックな広告表現であっても、
シリーズ広告による累積効果で
深いブランドイメージの獲得が可能だと思われますし、
近年、特に若い人たちを中心に広告の受け手は
目が肥えてきて判断力もかなり高いと思われますので
このくらいマニアックな表現でも十分理解される
ケースは以前よりも増えている様に思います。

2008年7月9日水曜日

∞(無限大)CM。

本日は「インクが長持ちするボールペン」の
かなり独創的なTVCM事例ですが、
残念ながら映像資料が無いので
文章でご説明させて頂きます。

とあるテレビ番組の「冒頭」と「途中」と「最後」に3回
以下の様に「ボールペンでひたすら“∞(無限大)”」を
書き続ける映像を放映。

「番組のオンエア中」の間、ずっと書き続けても
「インクがきれない」ボールペンであるという点を
視聴者に擬似的に体感してもらうCM。



番組の「冒頭」と「途中」では、商品ロゴは出ないので
視聴者はひたすら「無限大マーク」をボールペンで
書き続けるアヴァンギャルドな映像を見せられ、
かなりシュールに思うはずです。

そして「番組最後」の部分に放映されるCMで始めて
商品ロゴが出てきて「長持ちするボールペン」の
CMであることを知り「なんだ!」と思うはずです。

擬似的ではありますが、視聴者と「リアルな時間の経過」を
共にすることでエンゲージメントを深める独創的なCM事例。

2008年7月8日火曜日

おどろくOOH。

本日はSONY「プレイステーション」の屋外看板事例。

この広告看板を間近で見るとプレステのコントローラーを構成する
4つのボタンである「▲」「■」「●」「×」が
それぞれ複数散りばめられています。



これだけを見ると「何のこっちゃ」だと思いますが、
この看板を離れた所から見かけると以下の様に、
「ゲームの衝撃」で「おどろいた人の顔」に見える
という非常に独創的な事例。

2008年7月7日月曜日

請求書OOH。

本日は「Bank of America」の
請求書をあしらった屋外看板の事例。



訴求内容は正確にはわかりませんが、
「請求書」などの様に普段見慣れたモノが
巨大になっていると異様なインパクトがあるように思います。
「ジャイアントポッキー」を初めて見た時も
ちょっとビックリしましたし。

余談ですが、以下のローソンの看板も
普段見慣れたものより大きくてインパクトがありました。



どうせだったら、この2倍くらいあるともっと笑えたのに、
と思いました。

いずれにせよ「見慣れたモノのサイズが著しく変わる」という
表現手法は、アテンションを獲得するための効果的な手法に
なるような気がします。

2008年7月6日日曜日

インサイトフルな商品陳列。

本日はユニークな商品陳列事例。



“ドッグフードを買う人は(犬の)写真を撮る機会が多いだろう”
という仮説を元にしたと思われる創造的な商品陳列事例。

「ドッグフード」と「フィルム」という異なる2つの商品にとって
効果がありそうな感じがする
クロスマーチャンダイジングな商品陳列事例。

スーパーなどは購入の最終決定をするかなり重要な場であるため
アメリカではかなり急速にメディア化が進んでいるそうですが
日本においても今後さらに重要なメディアになっていく気がします。

2008年7月5日土曜日

お金がもらえる広告。

本日は、実際にお金がもらえるDM(ダイレクトメール)。



この事例の詳細は不明ですが、本当にお金をあげるなんて
かなりアナーキーな事例であると思います。
日本ではほぼムリでしょう。

2008年7月4日金曜日

くしOOH。

本日は「くし」のOOH事例。
「電線」を「乱れた髪の毛」に見立てて巨大なくしを設置。



海外のOOH事例では上記の様に、既存の場所に
「別の意味」を与え「うまく例えた」系の表現が時折見られます。

2008年7月3日木曜日

歩くOOH。

本日は、最近日本でもサービスを開始した「歩く看板」事例。



以前から広告看板を路上でおじさんが持ち続ける
「サンドイッチマン」は存在しておりましたが、
サンドイッチマンには、どことなく人権侵害の香りが
漂っていた感じが個人的にはします。

この「歩く看板メディア」は、歩く人間が背負う看板なので、
一ヶ所でじっとしている「サンドイッチマン」よりも
アクティブな感じがする分、悲壮感は弱い感じがします。

人間がメディアになっていると、注目率は高いと思われますので
広告する業種によっては(イベント告知など?)
効果的なメディアになるかもしれません。

この「歩く系メディア」は海外では2人組による以下の様な
「歩く垂れ幕」事例などもあり、さらには・・・



こんなシュールな歩行系メディアもあるようです。



たぶん日本でやったら中学生に飛び蹴りされそうです。