2008年10月31日金曜日

超アヴァンギャルドなプレステの雑誌広告。

本日は、これまでこのブログで取り上げさせて頂いた
事例の中でもトップクラスにアヴァンギャルドな
「プレイステーション」の雑誌広告事例。



プレステの「ゲーム」においては、
「宇宙人」など様々なタイプの存在になることが出来る
という点をプレイヤーが「着ぐるみ」の中に入っている
ビジュアルにより「疑似体験」感を表現。
タグラインは「Be somebodyelse」



目の周辺の部分に中に入っているプレイヤーの「地肌」が
チラッと見えています。
この広告はシリーズでして、他には以下のタイプがあります。

【赤ん坊】


【神父さん】


【猛犬】


これでもかってくらいシュールな広告だと思いました。

2008年10月30日木曜日

ホッピー配送車OOH。

本日はホッピーの「配送車」の事例。



ホッピーに限らず最近は以前よりも配送車を
広告媒体として捉えてインパクトのあるラッピングを
している事例が増えた気がしますが、
そんな中でもホッピーは早くから配送車を
ド派手なビジュアルのデザインにして
注目を集めていたと思います。



これらの広告表現のセンスに関しては賛否両論ある気がしますが、
「配送車」をアドトラックの様に「動く看板」と捉えるという
考え方は非常に優れていると思いますし、
まだまだ面白い表現が出来る可能性を秘めている気がします。

2008年10月29日水曜日

BBC街頭投票型OOH。

本日はケータイとOOHを組み合わせた
イギリスの放送局「BBC」の番組広告事例。



物議をかもし出しそうなビジュアルの広告看板の両サイドに
正反対の「言葉」と共にデジタルカウンターが設置。
この看板を見た人はケータイでどちらかに投票することで
自分の意見が追加されていく様をマス媒体で確認できる
という参加型デジタルOOH。


   BEFRIEND           BEWARE
   友として力を貸す        用心する



   OCCUPIER         LIBERATOR
   占有者             解放者




   CITIZENS         CRIMINALS
   市民              犯罪者


OOH広告は、これまでは効果検証が難しかったため
媒体としての信頼度がもう一つ弱かった感じがしますが、
今後OOHの一部で「顔認証システム」付の「デジタル看板」に
なることが予測されていて、
この事例は、その過渡期である現在の中で、
OOHとデジタルを組み合わせて「効果検証」そのものを
エンターテイメントにしたユニークな事例であると思います。

2008年10月28日火曜日

ワンダーブラの広告②

本日も「ワンダーブラ」の雑誌広告事例。
ワンダーブラで胸が大きく見える女性に
見とれて「電柱に激突した自動車」のビジュアル。



しかもバリエーション違いでシリーズ広告になっています。





この様にバカバカしい広告であっても何回もしつこく
やることで妙にアタマに叩き込まれる感じがします。

普通このクリエイティブでシリーズにしょうとは
考えにくい気がしますが、この微妙な差しかない
ビジュアルでシリーズ展開するシュールさが
この広告の味にもなっている気がします。

あとこの広告に関して言えば「ノーコピー」であることが
かなりうまく行っている気がします。
不可解かつインパクトがある事故車のビジュアルを見て
右下のワンダーブラのロゴを見ることで、
「事故車?」「え?ワンダーブラの広告?」
「ワンダーブラって胸が大きく見えるブラジャーだよな」
「胸が大きい女性に見とれて激突したクルマってこと?」
という思考の過程を通して「他人に注目されるブラジャー」
という商品ベネフィットを訴求していると思われます。

受け手のアタマの中で、受け手が自発的に推論を
進めることで広告への関与度と印象度が
上がっている気がします。

日本ではこの型の広告は「IQが高過ぎだ」とか
「私はわかるが消費者はわからない」などの議論に
なりやすいですし、こういう「ナゾ解き型」の広告表現は
一つ間違うと独りよがりな広告表現になりやすいのも
確かだと思いますが、それでもうまく行くと
面白くて印象的な表現になると思います。

とかくマス広告の表現話法は、受け手を見下した考え方が
多い気がしますが「ナゾ解き型」の広告表現は、
受け手の知性を信じた表現話法であるとも思います。

2008年10月27日月曜日

ワンダーブラの広告①

本日は「ワンダーブラ」の雑誌広告事例。





胸がかなり大きく見えるので、
「大勢の人々から注目される」という表現。

2008年10月26日日曜日

今月のナカタハンガー。

本日も広告と関係ない事例。
以前にも取り上げさせて頂いた「ナカタハンガー」の
ショーウインドウ事例。







「漆塗りのハンガー」だそうです。シックで秋らしいと思いました。
ハンガーで秋を感じることもあるんですね。

ナカタハンガーさんは「漆塗り」に限らず様々なハンガーを
製作・販売されています。
これほどまでに「攻めてるハンガー屋さん」を、私は知りません。

ナカタハンガーのHPは、かなり面白いので
ご興味のある方はご覧ください。
↓ClickHere!
http://www.hanger.co.jp/showroom.html

↓特に社長さんのブログは、かなり興味深くて面白いです。
http://kindofhot.cocolog-nifty.com/koh/hanger/

2008年10月25日土曜日

超シュールな「QRコード」掲出。

本日は、広告とまったく関係ありませんが
私が今までで見た「QRコード」表示の中で
最もシュールな事例。



先日、下北沢を散歩していた時に「開店前」のビデオレンタル店の
店先に巨大なボードと共にQRコードが掲出されていました。



この写真ではもう一つ伝わりきらないのが残念ですが、
実物はシュールを通り越して少し怖い感じがしました。
子供の時に見てたらトラウマになったかもしれません。

2008年10月24日金曜日

超シュールな店頭POP。

本日から広告と関係ない事例が3日続きます。

先日、デパ地下の「鮮魚コーナー」で見かけた
アヴァンギャルドな店頭POP事例。

買物中に「めんたいこでも買おうかな」と思って、
ふと下を見たら「かなり違和感」があるPOPが
目に入ってきました。



どうやら「すじこが肌に良い」という内容の記事が
雑誌「MAQUIA(マキア)」に出たらしく、
その表紙を小型化したPOPを掲出してるらしいのですが、
たくさん「すじこ」が並べられている中での
「MAQUIA」の表紙は、かなり異質な感じがしました。



しかし、異質なだけに目にはしっかり飛び込みましたし
印象にも残っています。
個人的にはインパクトの本質は、「予想を裏切ること」であると
思っています。そこにあるはずが無い物があると予想が裏切られて
インパクトを感じる様な気がしています。
(必ずしもインパクトがあればイイわけではないと思いますが)

2008年10月23日木曜日

どんな道でも走る4WD。

本日は「4WD」のWEB広告事例。



「どんな道だって走ることが出来る」という点を
ユーザー自身が好き勝手に道を作ることを
体験させることで訴求。「巻き込み型」の表現なので
印象度も高い気する優れた事例だと思いました。

↓ClickHere!
http://www.bannerblog.com.au/2006/06/paths.php

2008年10月22日水曜日

かなり薄いTV③

本日も薄型TVの雑誌広告事例。



横から「扇風機」の風をうけることで
TV全体が「ぶわ~っ」となっているビジュアルで
「かなり薄い」ことを誇張して表現。

2008年10月21日火曜日

かなり薄いTV②

本日もSAMSUNGの薄型TVの雑誌広告事例。



TVの「四隅」が「セロテープ」でとめられていることで
「かなり薄い」ことをかなり誇張して表現。

2008年10月20日月曜日

かなり薄いTV①

本日は、かなり薄型のTVの雑誌広告事例。



この広告では製品の右下部分を良く見ると以下の様になってます。



かなり薄いTVであることを、かなり誇張的かつユニークに
表現している事例だと思いました。

2008年10月19日日曜日

遠くまで行ける4WD。

本日は4WD車「RANDROVER」の雑誌広告事例。



未開地の部族と思わしき人々に整列してもらうことで
ランドローバーの外観フォルムを表現。
かなり遠くまで行くことが出来る自動車であることを訴求。

2008年10月18日土曜日

3連スノボーOOH。

本日は3つのビルの壁面を活用した3連OOH事例。



スノボーのビジュアルが3連OOHと妙にマッチングしていて
「躍動感」を感じました。

2008年10月17日金曜日

破壊理論/ディスラプション⑤Chiat/Day

ディスラプション特集、最終日の本日は
Chiat/Day(シャイアットデイ)社および
広告エージェンシー自体のディスラプションに関して。

まずはシャイアットデイ社に関して、
ウィキペディアから引用します。
「TBWA CHIAT/DAY」
1968年にジェイ・シャイアットとガイ・デイによって
カリフォルニア州ロサンゼルスで設立された。

1990年代初めにBBDOやDDBを傘下に収める
世界最大の広告代理店グループである
オムニコムグループに吸収合併された。

その後1995年にTBWAと合併し、
TBWAワールドワイドの一員のTBWA/CHIAT/DAYとなる。

アップルコンピュータ(iPod含む)の一連の広告シリーズや、
アディダスの広告における斬新なクリエイティブが
世界中で高く評価され、カンヌ国際広告祭など
数々の広告賞の受賞歴を持つ。


シャアットデイは、オフィスもかなりクリエイティブで
サーフボードを打ち合わせテーブルにしたり、
バスケットコートがあったり、そして写真資料はありませんが
シャイアットの役員の顔写真が貼られたサンドバッグが
あったりするそうです。

【TBWA Chiat/Day】


シャイアットの中心となる人物は、
このブログでも何度も取り上げさせて頂いていた
現在TBWAワールドワイドの会長であり
CCO(チーフクリエイティブオフィサー)である「リークロウ」氏。

【Lee Clow】


「disruption」の中では、様々な企業の広告事例の他に
広告エージェンシーそのものに対しての未来予言的な
ディスラプションブリーフが書かれています。

【広告エージェンシーに関して】
コンベンション :広告は影響力を失いつつある。
ディスラプション:エージェンシーは最もクライアントに
          「近い存在」である。
ビジョン     :エージェンシーはイマジネーションに富んだ
          「コンサルタント」である。


このことに関して、さらにカット&ペーストします。
クライアントが心底望んでいるものを知っていること、
また他の誰よりも大衆を理解していることを
証明することによってのみ、我々はそこに到達しうる。

単なるコンサルタントではなく、
想像力を持ったコンサルタントである。
ルネッサンスに火をつけることができるのは、
この状態だけである。


以下、「disruption」の中からグッと来た文章。
アップルが反対し、IBMが解決し、ナイキが熱心にすすめ、
バージンが啓発し、ソニーが夢想し、ベネトンが抗議する。
ブランドは名詞ではなく動詞である。

これらのブランドはみな一つの視点を選んだ。
それぞれ自分の話し方を持っている。

ビジョンはしばしば一人の個人から生まれる。起業家である。

本当の差異をつくるものとして残されているものとは
「創造力」である。

最先端の考え方を持ち続ける人は、
生まれつきものごとを疑ってみる、
変化を恐れない人間だ。

「疑う訓練について」
成功する企業や人は、自分自身に疑問を持っている。
自分自身のコンベンションを発見することを余技なくされる。

そのためには外部である他人の意見を重視せねばならない。
これはディスラプションの命の一つである。

あなたは過去から自分を自由にしなければならない。
もしあなたが現状にあまんじるならば、あなたは
型にはまった概念にはまり込む羽目になるだろう。

あなたは空回りし、仮眠状態になる。
そしてあなたはコンスタントに疑問を持ち続ける
という素質を失ってしまう。

疑うことは規律のように練磨される必要がある。

自分を主張せよ。決して真似をしてはならない。

社会の至るところに、その全ての構成員の人間性に
対する陰謀が張り巡らされているのだ。
自分自身の思想を信じることだ。

自分や自分の秘密のハートにとっての真実を信じることは、
全ての人にも真実なのだ。それが天才である。


人間はみんなと違う存在になりたいと願う反面、
みんなと違うのは恐い、というまったく矛盾した2つの 
キモチのはざまで葛藤することが多い気がします。

また人と違うビジョンを持つと
批判にさらされやすい気がします。

そして最終的には、みんなと同じ選択をする傾向が
非常に強いと思います。それも無意識に。

しかし一見、正しいことをやればみんな似てしまうし、
正しいことの積み重ねで「同質の海」に陥ってしまうのならば
そのねじれを破壊するために意識的に「他とは違う」様になる
ことも需要なのではないかと思います。
違うことを恐れてはいけないのだと思います。

みんながイイというものを悪いと言ってみたり、
悪いと言うものをイイと言ってみたりする
「アマノジャク」っぽさが重要な気がします。

その意味でディスラプションは意識的に
「同質の海」から抜け出す手法の一つである気がします。

最後に「disruption」より「ブランド」に関するブリーフ。
コンベンション :現実の世界は「有形の世界」である。
ディスラプション:「無形資産」が「永続的」になりつつある。
ビジョン    :「ブランド文化」は製品の「究極的な資産」だ。

2008年10月16日木曜日

破壊理論/ディスラプション④TAG Heuer

ディスラプション特集、4日目の本日は
高級スポーツウォッチ「タグホイヤー」と
航空会社や映画館などでおなじみの
「ヴァージングループ」という
2つの事例を取り上げさせて頂きます。

まずはタグホイヤーの事例から。



TBWAが広告を担当する前からタグホイヤーは
素晴らしいスポーツウォッチとして知られていました。
しかし単なるスポーツウォッチであって、
「高級時計」ではありませんでした。

タグホイヤーは、ブランドの「ステイタス」を上げるために
スポーツが体現できる様な「新しい視点」を
開発する必要がありました。

残念ながら映像資料が無いのですが、
TBWAは、様々な一流アスリートが、例えば陸上競技の
「ハードル」が「カミソリ」になっているなどの
大げさに例えられた競技をするというCMを制作。
有名なスポーツ選手が偉業を成就するために必要な
恐ろしいほどの集中力や自己抑制を衝撃的に表現しました。

この広告キャンペーンの成功によりタグホイヤーは
スポーツブランドはラグジュアリーブランドになることができる
ということを示しました。

タグホイヤーは自らにビジョンを与えることに成功したのです。

この広告キャンペーンによりタグホイヤーは結果、
売上を倍以上に伸ばしたそうです。

【現在のタグホイヤーの広告(TBWA制作では無い?)】


以下、タグホイヤーのディスラプションブリーフ。

【TAG Heuer】
Convention:Luxury brands need to use identifiers
         like wealth and status to symbolize prestige.
Disruption:Enchance the prestige of sports to
         enchance the status of the brand.
Vision    :With TAG Heuer,sports prestige is
         a question of mental strength.

【タグホイヤー】
コンベンション :品富と名声を象徴する高級ブランド。
ディスラプション:スポーツにおける「存在感」を増すことで
          ブランドのステータスを上げることが出来る。
ビジョン   :タグホイヤー、スポーツは精神的な強さの問題だ。


次の事例は、冒険家としても有名な天才経営者
「リチャードブランソン」率いる複合企業グループ
「ヴァージングループ」の事例。



【Richard Branson】


ヴァージングループは「レコードレーベル」から始まって
「航空会社」「携帯電話」「映画館」そして「コーラ」など
一貫性の無い業界へブランド拡張をしていったのに、ほとんどの業種で
大成功した(コーラは大失敗)珍しい事例ですが、
これだけバラバラの業種をイメージ上まとめ上げるには
「ビジョン」の表明が必要だったのだと思います。

ヴァージングループは、社長のブランソン自身のビジョンである
「決まりきった方法」や「固定概念」と戦うことを決意した
実力ある偶像破壊的な男のビジョンを訴求しています。

以下、ヴァージン「メガストア」のディスラプションブリーフ。

【ヴァージンメガストア】
コンベンション:新装小売店のコンセプトは選択肢の広さ、価格、
        サービスといった実体のあるものに焦点を絞るべき。
ディスラプション:バージンに「実体のある保証」ではなく、
          「感情的な役割」を与える。
ビジョン     :バージンはレコードストアではなく
          「文化の殿堂」だ。


以下、本日のカット&ペースト。
知識は結局は誰にでも利用可能なものだ。
知識からアイディアに飛躍する直感だけが、
あなた独自のものなのだ。

ディスラプションは、コンシューマ・インサイトに基づく。

消費者を巻き込むためには、
彼らの「意外な真実」を見つけ出すことである。

それらを白日の下にさらすには、
日常生活を作り上げている小さなことに気を配り、
注意していなければならない。人々が共有している考え方、
行動の仕方、感じ方を探さなければならない。
探偵的姿勢を身につけるのだ。

2008年10月15日水曜日

破壊理論/ディスラプション③ABSOLUT

ディスラプション特集、3日目の本日は
日本でもおなじみのウォッカブランド「アブソリュート」の
広告キャンペーンにおける「破壊理論」。



アブソリュートウォッカはガラス瓶に商品名を
直接「印字」しているユニークな商品です。

広告では、そのアブソリュートの「商品自体」を
ドーンと全面に使って
様々なアイディアで表現するという
シンプルかつアートなキャンペーンを
長年にわたって続けていました。
(現在は違う広告シリーズをやっています)
ポップアートで有名な「キースへリング」や
「アンディーウォーホール」も制作実績があります。

アブソリュート・ウォッカは一連の広告が評価され
1993年にナイキ、コークと並んで
米国マーケティング協会による
第一回「栄誉の殿堂」入りを果たしています。

アメリカの都市部においてアブソリュートは
「文化的アイコン」になっているそうです。









以下はアブソリュートウォッカのディスラプションブリーフです。

【Absolut】
Convention:The premium quality of a spirit brand
        lies in its provenance.
Disruption:Absolut is a fashion brand.
Vision   :Transform the bottle into an icon,
       and build a territory
       around who drinks it and where.

【アブソリュートウォッカ】
コンベンション :スピリッツ酒ブランドは、品質が重要だ。
ディスラプション:アブドリュートウォッカはファッションブランドだ。
ビジョン      :ボトルをアイコンにした。


早い話、アルコールは大抵の製品が中身や味で売っているけど、
製品ではなく、スタイルやイメージで売るというファッションブランドの
文脈で広告をつくることが業界の常識を破壊し、
差別化を可能にするということだと思います。
ただしこの広告の優れている点は、ファッション化すると
言いながらも、むしろ商品ボトルをドデーンと中心に
扱っていながらもクールなトーンを形成している点だと思います。

商品から逃げれば面白い広告は結構カンタンに作れると思いますが、
商品をど真ん中にすえてイイ広告がつくれるのなら、
当然そうすべきであると思います。

以下「disruption」よりカット&ペースト。
広告人は具体的な物の経済価値における差をつくることを
探し続けてきた。今後は広告はますます
「無形なもの」の経済価値に付加価値を創造することとなる。

きわめて頻繁に広告はコード化されている。
各マーケットにおいてマンネリを生み出している。

我々は全文化時代に突入した。

フランスの社会学者レオ・シェールは、
サインと対象物の関係は逆転しつつある、と書いている。

サインは対象物よりも、より現実感をもつようになっている。
対象物はサインに比べ、よりバーチャルになっていく。

ブランドのフレームを変える。
すると人はブランドを違う目で見るようになる。

偉大なキャンペーンというのは私たちの物の見方を変えてしまう。
突然ブランドに違う光をあてるのだ。

もし全てのブランドが共有している何かがあったら、
それはディスラプションの隠された出発点になる。
ただし存在理由をひっくり返さないこと。

人々は市場がいかに「多くの慣習」を
作り出してきたかを悟ってない。

慣れ親しんだモノが信頼できるモノになり、
そしてコンベンショナルなものが息を吹き返す。

結果として私たちは同じ世界『同質の海』に住んでいる。

ディスラプションは、コンベンションに言及することで
競争相手を過去に追いやってしまう。

慣れ親しんだことを、違う視点で見つめるという行為は、
「批判的行為」である。

2008年10月14日火曜日

破壊理論/ディスラプション②Apple

ディスラプション特集、2日目の本日は
TBWAグループの代表的なクライアントである
「アップル社」の事例。



アップルの事例は、これまでにこのブログで
何度も取り上げさせて頂いてきましたが、
今回は、エポックメイキングになった3本のCMを
まとめて取り上げさせて頂きます。

まずはアメリカ広告史上「最高のCM」とも言われている
「1984」というCM事例。

このCMはアメフト全米No.1を決める「スーパーボール」の
テレビ中継の時に、たった1回だけオンエアされただけなのに
全米中で話題になった伝説のテレビCMです。

当時コンピューター業界で圧倒的なシェアを誇っていた
「IBM」を全世界のビジネスを支配する「巨人」に例え、
果敢に挑むアップルおよびアップルユーザーの姿を
象徴化したCMです。

【Apple/1984】


このCMは1980年代前半「リークロウ氏」率いる
西海岸のニューウェーブ系クリエイティブブティック
「シャイアットデイ社」が制作(現在はTBWA Chiat/Day)。

同社はアカウントプランニングをアメリカで先駆的に
採用すると同時に、破壊的な広告表現でアメリカに
クリエイティブ革命を起こした会社とされています。

この「1984」は、たった1回の放送だったにも
かかわらず全米でかなり話題になったそうですが、
このCMの放送直後、マッキントッシュを発売した後、
アップルのCEO「スティーブジョブ氏」は
自身がアップル経営陣に迎え入れた元ペプシコーラの社長
「ジョンスカリー氏」らに、アップル社を追い出されてしまいます。
ジョブス氏は自分自身がつくった会社を追い出されてしまうのです。

それに伴って広告のアカウントもシャイアットデイ社から
離れてしまったそうです。

【Steven Paul Jobs】


次のCM事例は、ジョブス氏がアップルを追放された後、
ビルゲイツ率いる「マイクロソフト社」の隆盛により、
アップル社のシェアがどん底になった時、
再びアップルにスティーブジョブス氏が呼び戻された際に、
iMac発売前の反撃の「のろし」的に制作された
「Think different」キャンペーン。

ちなみに以下の映像資料は和訳が無いので先行して
ナレーション原稿を転記いたします。
何回読んでも心に突き刺さる内容だと個人的には思います。

【Apple Computer/Think different】
クレージーな人たちがいる。
反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。
四角い穴に、丸い杭を打ちこむように
物事をまるで違う目で見る人たち。
彼らは規則を嫌う。彼らは現状を肯定しない。
彼らの言葉に心をうたれる人がいる。
反対する人も、賞賛する人も、けなす人もいる。
しかし、彼らを無視することは誰もできない。
なぜなら、彼らは物事を変えたからだ。
彼らは発明した。創造した。人の心をいやし、奮い立たせた。
彼らは人間を前進させた。
彼らは人と違った発想をする。
そうでなければ、何もないキャンパスの上に
芸術作品は見えてくるだろうか?
静寂の中に、今までにない音楽が聞こえてくるだろうか?
私たちは、そんな人たちのために道具を作る。
クレージーと言われる人たちを、私たちは天才と思う。

自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、
本当に世界を変えているのだから。
Think Different


【Apple/Think different】


余談ですが、ジョブス氏がスカリー氏を
ペプシから誘い出した時に言ったとされる名セリフは
このまま一生、砂糖水を売りつづけるのか
それとも世界を変えたいとは思わないのか。、

だそうです。

最後の事例は、言わずと知れたiPodのCM事例です。

【Apple/iPod】


このCMはかなりシンプルだと思いますが、考え抜かれて
削ぎ落とされまくった上でのシンプルという感じがします。

これら3本のCMは、いずれも「破壊理論/ディスラプション」
というプランニングメソッドおよび哲学に基づいて
制作されているようでして、どのCMも同じ業界の「他の広告」とは
「一線を画する」様な、コンセプトおよびアウトプットであると
思います。

広告を誠実に作ろうとすればするほどTBWA社の言う「同質の海」に
紛れ込んでいってしまうことが多い気がします。
正しい広告を作ろうとすればするほど他の広告との「違い」は
無くなって行く傾向にあり、結果差別化が出来ずに受け手に
到達しにくい広告になることが多い気がします。

どんなに正しいことを言っても受け手に到達しないのならば、
意識的にブランドを表現する際に「ある要素」を破壊して
新鮮に見せることをする必要がある、というのが
「ディスラプション」の哲学の一つである気がします。

個人的に「広告はクライアントを越えてはいけない」と思いますが、
アップルは社長であるジョブス自体がクレイジーであり、
ジョブスのビジョンを正確に形にすることがアップルの広告を
他とは違うクレイジーなものにしているのだと思います。

ジョブスが戻ってきた後のアップル社はご存知の様に大躍進を
続けていますが(今後どうなるかはわかりませんが)、
アップルはディスラプションの精神が会社中に行き渡っているから
これだけの成功をしているのだ、と信じたいです。

他とは違うこと、業界内での競争のルールを変えること、
激しい競争の中で勝ち抜いていくには、勇気が必要な気がします。

ちなみにアップル社の「ディスラプションブリーフ」は
以下の様になるそうです。

【Apple/原文そのまま】
Convention:In high technology products,
          communication must revolve
          around product features.
Disruption:”Apple is not about bytes and boxes,
          it is about values.”(Steve Jobs)
Vision    :Apple is the tool for creative minds.

【アップル/超訳】
コンベンション :ハイテク製品の広告は、
         「機能」を中心に展開すべきだ。
ディスラプション:アップルは記憶容量と箱のカタマリではなく
         「価値」だ。(スティーブジョブス氏の発言)
ビジョン     :アップルはクリエイティブマインドな
           人のための道具をつくる。


以下「disrupiton」からの「カット&ペースト」。
アップルの人間的なビジョンは、人間と機械の関係を逆転した。

広告を信用しないけれど、
若者はブランドが好きである。

プロダクトはライフサイクルを持っているが
ブランドは持っていない。

広告とは、決して新しいモノを発明することではなく、
「隠されていたもの」に「光をあてる」ことである。

ソクラテスいわく、あなたは何物も発明していない。
あなたは忘れていたものを「再発見」したのだ。

私たちの仕事は「隠されたもの」を
「表に引っ張り出す」ことである。

数量化できないものは存在しえないという姿勢に
屈してはいけない。

メディアの増殖が進むことにより一つのメディアだけでは
充分な人に充分な時間接触することは出来なくなり、
どのメディアも充分なリーチとフリークエンシーは
提供できないだろう。

広告の累積効果は、幅広く多様なメディアの
「蓄積」のみで得られるだろう。

メディア間の相互依存が増えるのは確実である。

それゆえ広告メッセージは幅広く多様なメディアの中で
「横断的に」伝達可能なものでなければならないだろう。

その上、人々のマインドの中に入り込むためには、
様々なメディアで「統一するに足りるほど」パワフルな
メッセージおよび表現でなければならないだろう。


明日は「アブソリュートウォッカ」の事例です。

2008年10月13日月曜日

破壊理論/ディスラプション①

ディスラプションは「市場の論理」に凝り固まって
もはや「誰も挑戦しない」「支配的な考え方」に
「抵抗」することである。

ディスラプションは他のブランドと「まったく違う事」をやることで、
マーケットのバランスを「ひっくり返す」ことである。

ディスラプションは「市場の競争のルール」を
「永遠に変えてしまう」ことである。


本日から5日間「アップル社」のCMでおなじみの
TBWAワールドワイドのプランニングメソッドである
「破壊理論/ディスラプション」に関して取り上げさせて
頂きたいと思っております。

【disruption表紙】


「disruption」の著者でありTBWAワールドワイドの
マーケッター出身で現在チェアマンである
「ジャン・マリー・ドリュ」氏によれば「ディスラプション」とは
人々にそのブランドに対してそれまでとはまったく違う解釈をさせ、
新鮮な目でそのブランドを見つめ直させること
だそうです。

TBWAグループの哲学である
「Change the rule/ルールを変えろ」という言葉を
実践にうつすためのプランニングメソッドです。

【著者Jean-Marie Dru】


「disruption」は日本語版が出版されていないこともあり
個人的に気になった部分を「超訳」でカット&ペーストします。

ディスラプション「破壊理論」の基礎は、
コンベンション【CONVENTION】、
ディスラプション【DISRUPTION】、
ビジョン【VISION】という3段階の論理的プロセスからなる。

「コンベンション」とは、明晰な思考の障害となるものであり
各業界が無意識の積み重ねの中でつくり上げてきた
月並みな慣例、ありがちでベタな手法のことである。

まずはその様々な「コンベンション」を確認することから始まり、
「根本的に新しいアイディア」である「ディスラプション」と共に、
それを疑問の中に投じる。

これはどこに行こうとするのかという、多少とも直感が
指し示す方向「ビジョン」感覚に従って行われる。

コンベンションとは現状を支えている既成概念のことである。
コンベンションは先入観にとらわれた概念である。
コンベンションとは実感もなしに受け入れていることの全てである。
言い換えれば、もう気がつかないほど慣れ親しんだ
出来上がった行動のことである。

ビジョンは全ての動きに対して、方向を指し示してくれる。
ビジョンは人を動かさずにはいられないものでなければならない。
ビジョンは人を大胆不敵にさせるものでなければならない。

成功したブランドは、
それぞれの分野でのコンベンションを疑うことで、
自分たちのビジョンを伝えることに成功したブランドなのである。

ディスラプションで生まれた広告は
あらゆる優れた広告がそうである様に
論議を巻き起こす可能性がある。


本日は、かなり「観念的」な感じになりましたが、
明日からは4日間、破壊理論に基づいてプランニングされた
具体的な広告事例を取り上げたいと思っております。

2008年10月12日日曜日

CGAの時代へ②

本日もCGAカンファレンスの中で取り上げられていた
ユニークで面白い事例です。

まずは「芸者東京」という会社のCEOである田中泰生さんが
プレゼンされた「電脳フィギュアARis」の事例。



ちなみにこの「電脳フィギュア」は「アマゾン」の
エレクトロニクス部門の人気ランキングで1位をとられたそうです。

次の事例は、このカンファレンスに主催企業の一つである
株式会社メタキャストさんの「mitter」の事例。

「mitter」とは、このブログの右部分にある
Web上でみんなとゆるくつながる一言ブログ「Twitter」の
「映像版」の様なWebツールだそうです。

【Twitter例】


【「mitter」HPより抜粋】


↓ClickHere!
http://mitter.jp/

この「mitter」をつくられた「メタキャスト」さんの
代表取締役である伊藤健吾さんとは、
(ブログ「メタキャストCEOのブログ」)
以前「広告ブロガー」の交流会でお話させて頂いて
Web映像に関する様々な「鋭い見解」を聞かせて頂きました。

Webの世界にはメタキャストさんを始めとする
ビジョナリー系の会社がたくさん存在して
未来を切り拓いていく様な仕事をされていて
お話を聞くたびに毎回かなりインスパイアされます。

広告業界の水面下では現在、信じられないくらいの
パラダイムシフトが起きている様に感じますが、
意外なくらいに「顕在化し切れてない」気がします。
しかしある時期に「臨界点」を超えると
ズバンッと「強烈な変化」が顕在化する気もします。

マス広告による成功体験の残像はあまりに鮮やかだとは思いますし
変化の時代だからと言って何もかもが変わるとは思いませんが、
とはいえかなり劇的な変化が起きる可能性があると思います。
未来予言的な行動をとった方が良い時代である気がしてなりません。

2008年10月11日土曜日

CGAの時代へ①

先日「ネット動画」のカンファレンスに出席しましたので
2日間にわたってそこで紹介されていたユニークで
面白い事例を取り上げさせていただきます。

事例①「エキサイトベースボールfilmo CMコンテスト金賞受賞作」


この事例は、以前このブログでもご紹介させて頂いた
(当ブログ2008年4月22日YouTubeセミナー②参照)
消費者参加型のCM制作ネットワークfilmo主催の
コンテストで金賞を受賞したCMのようでして、
制作されたのはプロの広告制作者では無い方だそうです。



ネコの奇跡的な表情を巧妙に活用した優れたCMだと思います。

次の事例は同じく以前このブログでご紹介させて頂いた
自主的に好きな企業や商品のCMを制作する「勝手広告」さんに
インスパイアされて制作されたCM。

【勝手広告風リポビタンDのCM】


最後に、カンタンにCM映像が制作できるWebツール
「コマーシャライザー」を使って制作された
「くい」メーカーの「くい丸」さんのCM。

【くい丸CM】
↓ClickHere!

http://cmizer.com/movie/1722

このカンファレンスの正式タイトルは
「ネット動画はCMの世界をどう変えるのか?」
~CGA(Consumer-Generated Ad)の時代へ~
ですが、実際に海外などでは数年前からプロの広告制作者では
無い方々が自主的にCMなどを制作するという流れが
予想以上に広まっている感じがします。

消費者主導のCMは、表現のコントロールやマネジメントが
難しいため日本ではどの様な形で定着するのかはまだ未知数ですが
とはいえCGAはかなりの可能性で潜在パワーを
ひめている広告手法と思います。

明日もCGAカンファレンスに関してです。

【イベント概要】
■日時:2008年10月09日(木)18時~20時45分
■場所:東京ミッドタウン カンファレンスホール
■協賛:CNET JAPAN
■モデレーター:神田敏晶氏
・株式会社エニグモfilmo プロデューサー 有田智治氏
 http://www.enigmo.co.jp/
 消費者参加型CM制作ネットワーク「filmo(フィルモ)」
 http://filmo.tv/
芸者東京エンターテイメント株式会社
 代表取締役CEO/ファンタジスタ 田中泰生氏    
 http://www.geishatokyo.com/index.html
 http://www.geishatokyo.com/entertainment.html
・株式会社ムービーインパクト代表取締役 神酒大亮氏
 http://www.movieimpact.net/
 Youtubeの勝手広告チャンネル
 http://jp.youtube.com/user/000521
・株式会社リクルートメディアテクノロジーラボ 
 チームリーダ 長友肇氏
 コマーシャライザー
 http://cmizer.com/
・株式会社メタキャスト
 http://www.metacast.co.jp/
 チーフヴィジョナリー井上大輔氏
 Mitterhttp://mitter.jp/