2007年12月12日水曜日

アカウントプランニング③

アカウントプランニング特集3日目の本日は
2日間にわたって、
現在、世界で最も創造的な広告会社と言われる
クリスピンポーターボガスキー(以下CP+B)の
事例を扱います。

【Alex Bogusky】


CP+Bの説明はかなり長くなりそうなので、
年明けに改めて特集しますので今回は割愛いたします。

まずは昨年日本にも進出した
スウェーデンの家具流通「IKEA」のCM「Lump」。
初めてご覧になる方のために
事前にCMの内容を解説いたします。

このCMは古くなって捨てられた電気ランプを擬人化して、
新しいランプと対比することで
新しい商品の良さを伝えるという内容です。

あたかもCM演出で古いランプを「かわいそうに」思わせた上で、
ラストに男が唐突に現れて
「このCMを見てランプがかわいそうと思った奴は
 バカげている。物に感情なんて無いんだ。
 新製品の方が良いに決まってるだろ!」と言い放ちます。
かなり挑戦的なメッセージのCMです。




ちなみにこのCMは2003年の
カンヌ国際広告祭フィルム部門の
グランプリを受賞しています。

CP+Bはカンヌの常連であるだけでなく、
アカウントプランニングアワード(APG)の
グランプリも受賞していて、
単にクレイジーな表現を作るだけでなく、
「広告」としても地に足のついた戦略立案機能をもった
優れた広告会社です。

ちなみにこのCMの演出家は、
映画「マルコビッチの穴」の監督で
ソフィアコッポラの夫でもある
「スパイクジョーンズ」です。

このCMについて当時カンヌの審査委員長を
勤めていたダンワイデン(ナイキで有名な
ワイデン&ケネディのCEO)のコメントです。

【Dan Wieden】


【ダン・ワイデン/ワイデン&ケネディCEO】
人は自分の日常生活で使っている道具に
無条件に親密さを感じ、同時にどうでもいい理由から、
それを捨ててはいけないと思い込みたがる傾向がある。

この作品はそういう感情にカウンター攻撃をしてみせた。
捨ててはいけないという思いこみが
いかに無意味かと合理的かつ正当性を持って語っている。


本日の締めは様々な書籍からカット&ペーストします。

青山学院の小林保彦教授著
『アカウントプランニング思考』より。
従来の消費者分析の考え方では消費者を
『論理的に考え、合理的に判断する人間』と捉えてきた。
しかし、実際の消費者は必ずしも商品を
合理的に評価したり購買したりしない。

『マーケティング22の法則』より。
マーケティングとは『知覚』をめぐる戦いであって、
『商品』をめぐる戦いではない。

『アカウントプランニングが広告を変える/ジョンスティール 』より
問題はひと昔前の機械論的広告効果観や
消費者を遠ざけておこうとする手法のせいである。

その結果、消費者と商品ないし商品カテゴリーの間にある
『真の結びつき』を理解しないまま広告が作られ
消費者の『心の核心』に触れず認識や行動を
ほとんど変化させられないことが極めて多い。

真実は目の前にあるのに、
広告主と広告代理店のどちらの目にもそれが入らないし、
目を向けようとすらしない。
王様は裸なのに誰もそのことに気づいていない。

『アンダーザレーダー型広告手法』より。
◆広告らしくするな。戦略を表に出すな。
◆ユーモアは単にクリエイティブの賞を
 数多く獲得するための仕掛けではなく
 優れたマーケティングそのものなのである。


明日もCP+Bの事例を扱います。

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