2008年7月22日火曜日

消費者インサイト②IKEA「店内」

消費者インサイト特集、2日目の本日は
スウェーデンの巨大家具流通チェーンで
「インサイト精神」のかたまり的な企業「IKEA」の「店舗」事例。

【IKEA幕張店】


【日本の住宅事情を熟慮した商品ディスプレイ】


外国から参入してくる企業は、とかく自国の事情や
インサイトをそのまま流用して大失敗するケースが結構多い
気がしますが、IKEAは店舗内の随所に日本人の生活動向や
消費者インサイトを徹底的に追及した痕跡が見られました。

IKEAの売り場は、元々ただ単に家具を配置するのではなく、
「実際に部屋に家具を置いた感じ」をイメージしてもらう様に
売場を細かく分割して「リアルな部屋」をつくり、
そこに家具を配置することでお客さんが「自分の部屋」に
家具を置いた時の「イメージをしやすく」しています。

その「部屋的ディスプレイ」に関してもIKEAは日本の消費者に
対するインサイトをしっかりしていて、
上の写真の様にベランダでくつろぐ提案をするディスプレイも
べランダがかなりリアルな感じで「狭く」表現されているのです。

この「狭さ」は日本の住宅事情を考えるとかなり現実に即していて、
その「狭いベランダ」に置ける家具でないと、
ベランダ提案をしたところで、あまり意味がないと思います。

これは当たり前のことの様でいて恐らく多くの外国家具のショップは
この様な「狭っ苦しいディスプレイ」では
アピールしてこなかった気がします。

このディスプレイひとつとってもIKEAは
日本人に対する配慮をかなりしていることが予測されます。

【店内のあちこちで見られるインサイト系メッセージ①】


【店内のあちこちで見られるインサイト系メッセージ②】


IKEAの店舗内には例えば「荷物がたくさん?」などの
「何てこと無いメッセージ」が、あちこちに書かれています。

これらはどうってことないメッセージに思えますが、
IKEAの様に安くて一度にたくさんの製品を買う
可能性があるショップでは、予想以上に買い過ぎることは
案外多いと思います。こんな何てこと無いメッセージであっても
ショップの中の絶妙な場所で、実際にあえて「文字」で
語りかけられると「自分のことをわかってくれるショップなんだな」
という感情がうまれやすい気がします。

ブランドと消費者の好意的な関係をつくるためには
この様に「消費者を理解している」というスタンスを
しかるべき形で伝達するという手法は効果的である気がします。

ですが、この「問いかけメッセージ」は
何でも良いというわけではなく、
IKEAは熟考に熟考を重ねた文章を掲出している感じがしました。

【レストラン内のテーブルやイスも実際の商品を配置】


IKEAは食堂もかなりイイ感じでした。
安いわりに美味しかったですし「北欧調」の見慣れないメニューも
あったりしてイイ感じで「外国気分」が味わえました。

1日中いて、じっくり見る可能性が高いIKEAの様な場所は
レストランはかなり重要な要素だと思います。

そして、その食堂のイスやテーブルに関しても
しっかり「IKEAの製品」を配置していました。
結構な時間座って試せるのでかなり効果がある気がしました。

【地面に矢印を記すことで「順路」を明示】


これも何てこと無い様に見えますが、IKEAの中は
順路が決まった「迷路」の様になっていて、ボーっと歩けば
基本的に全ての製品を見ることが出来るのですが、
一瞬どう歩いてイイかわからなくなることもあります。
ですのでそんな時は「地面のやじるし」はかなりありがたかったです。
これも配慮が行き届いている現れだと思いました。

【商品の耐久性をアピールする不思議系電動オブジェ】


【電動オブジェのアップ:5.5Kgの重さにも耐えられる点を訴求】


【イスの耐久性を表現する不思議系電動オブジェ②】


IKEAの店内では数ヶ所で「シュールな機械」を使用することで
「製品の耐久性」などをアピールをしていましたが、
「こんなアピールの仕方があるのか」と驚いたのと同時に
耐久性に対する「納得度」も結構高かったです。

これも店頭ではいかに家具のデザインが良くても
「何年つかえるかなどの耐久性はわかりにくいので心配だ」という
インサイトを踏まえた上でのアヴァンギャルドな施策だと思いました。

【激安ソフトクリーム¥50】


一通り店内を見終わってレジを出た所に
「ソフトクリーム」や「ホットドッグ」を売っている売店が
あるのですが、値段がどれも「かなり安かった」です。

IKEAでの「買物体験」は一種のアミューズメントパークの様に
楽しく演出されていますが「最後にダメ押す」かのごとく
安くて美味しい食べ物で迎えてくれています。

他にもIKEAの店内には、ありとあらゆる場所で
「消費者インサイト」の形跡が見られましたが
キリが無いので今回はこのヘンで終わりにしますが、
いずれにせよIKEAは世界でも屈指の「消費者インサイト」の精神を
経営の中枢に織り込んでいる企業であり「お客様が大切」と
口だけで言ってるだけの企業とは一線を画する優れた企業で
あると感じました。

明日から残りの3日間は、そんなIKEAのTVCM事例です。

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