2007年8月15日水曜日
ビル・バーンバック③エイビス
フォルクスワーゲンに続いてDDBが世の中を騒がせた
キャンペーンがレンタカー業界2位の「エイビス/Avis」である。
1960年当初、エイビスは1位のハーツに
大きく引き離されていたが、DDBはこの「2位である」ことを
逆手にとった広告を開始した。
キャッチコピーは
「エイビスはレンタカー業界2位です。
私たちの車に乗る人はいるのでしょうか? 」
メッセージは、
「私たちは2位です。だからがんばります。」というもの。
実際Avisの店員たちは「We try harder.(がんばります)」
と書かれたバッジをつけて働いていた。
このキャンペーンによりエイビスは2年間でシェアを
28%伸ばしたが、自社の欠点とも言える「2位」という
訴求点は当初、役員会のメンバーの大半が大反対していた。
以前ご紹介したアップルのCM「1984」同様、
自社の急成長をになう広告は、案外クライアント自身が
拒絶しやすいということを象徴している例である。
自分のことを自分自身では結構わからない、という
人生の皮肉でもある。
このエイビスの新聞広告シリーズは他にも
コピーライターが「エイビスの車が汚れていた」ことに対して
「これじゃあコピーも書けない」的な文句を言うものなど
トリッキーなものが数多くある。
またエイビスもワーゲン同様エキセントリックなTVCMを実施。
(残念ながら映像は手に入りませんでした)
横柄な感じがする男性が、ひたすらこちらに向かって
挑戦的なしゃべりをする20秒CM。
当時のアメリカはカラーCM全盛の時代であったのだが
エイビスは「広告費にお金をかけている場合じゃない」という
印象を与えることも含めて、モノクロで男がひたすら喋り続ける
というワンカットCMを制作。
以下ナレーション。
「エイビスは、たしかにナンバー2です。
でも、かわいそうだから借りてやろうなどとは
決して思わないで頂きたい。
もし、車がきたなかったり、手続きがモタモタしていたら、
容赦なくエイビスをつぶしてください。
何のとりえも無い2流会社などアメリカではいらないのです。 」
最後の1行がスゴクないですか?
かなりクールなナレーションである。
話は若干変わるがDDBは「CD(クリエイティブディレクター)」
という概念を初めて使用した広告会社であると同時に、
コピーライターとアートディレクターによる協同の
広告制作システムを編み出したことでも知られる。
それまでの広告界では、コピーとアートは完全に
セクショナリズムで独立しており、流れ作業の様に
機械的に広告を制作していたが、
バーンバックは、このシステムを破壊して
より創造的な広告が生まれる環境をつくり出した。
そして同時にバーンバックは人材育成にも
驚異的な才能を発揮して、ワーゲンやエイビスのアートを
担当した「ヘルムートクローン」や、
稀代の天才AD「ジョージロイス」を排出。
ロイスは当時彼が担当することが決定したクライアントの
株価が上がったほどのADである。
またロイスはDDBをやめて「PKL(パパート・ケーニグ・ロイス)」
という優れたクリエイティブエージェンシーを設立。
PKLの様に3人の人物の名前の頭文字をとった会社名は
当時無数に存在したが、初めて使用したのは
おそらくDDBだと思われる。ちなみに書き忘れたがDDBは
(ドイル・デーン・バーンバック)の略であり、
営業と財務とクリエイティブの3人で始めた会社である。
現在でもXBOXのCM等で有名なBBH(Bartle Bogle Hegarty)や
ヨーロッパの炭酸ジュース「タンゴ」のCMで有名な
CHI(Clemmow Hornby Inge)も頭文字系である。
※この2社は、そのうちこのブログで扱います。
明日はDDBの偉業である3社の事例をご紹介します。
ヘルムートクローン
ジョージロイス
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1 件のコメント:
ぼくなんかのコメントよりもバーンバックさんのスピーチをアップしたほうがいいと思いますが、ご希望なので、お役にたつなら、どうぞ。
お返事遅れてすみませんでした。
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