このCMは、1964年アメリカ民主党のジョンソン大統領がDDBに依頼して制作されたもので、ベトナム戦争を終わらせるためには原爆使用も辞さないと主張していたゴールドウォーター陣営を徹底的に攻撃した超問題作。花びらを数える少女と原爆発射のカウントダウンをかけた過激な内容で共和党の激しい抗議を受け1回しか放映されなかった。しかし放映後、当時としては考えられないくらいのバズ効果を生み最終的な投票結果はジョンソン(61.0%)ゴールドウォーター(38.5%)で民主党の圧勝であった。また皮肉なことに媒体費用は民主党580万ドルに対して、負けた共和党は2倍以上の1600万ドルであった。ゴールドウォーター陣営の広告会社であるインターパブリック(DDBの競合広告会社)の媒体専門家たちは17億もの情報を電子計算機にかけ全米を200のテレビマーケットとし最小の費用で最大の視聴者にメッセージを伝達する方法を計算したが、結局この時の媒体専門家たちは言うべきことが何であるかメッセージはどうあるべきかを知らなかったため完敗したのである。このCMもナレーションがスゴイ。Na:11月3日にはジョンソン大統領に投票しましょう。 家にいるなんて、とんでもない危険を冒さないでください。民主党が勝つためには「投票に行く人の数」を上げることが重要だが、選挙に行かない人のインサイトは「自分が一票を投じたところで、全体には大して影響がない」つまり自分にとっての「関与度が低い」と思っている可能性が高い。そのインサイトに対してDDBが出した結論は、争点を「原爆」に搾りきりターゲット自身にとっての「生命の安全」という問題に見事に置き換えたのである。今で言う2ちゃんねるの「祭り」みたいな状態を作り出せたのだろう。そりゃ選挙に行くだろう。バーンバックの名言を集めた小冊子があるのだが、その中に以下の発言がある。◆プロとしてマスメディア使う人間は皆、社会に影響を与えます。 社会を通俗化することもできますし、非道に扱うこともできます。 同時に、より高いレベルに引き上げることもできるのです。バーンバックは上記のTVCMによって社会を高いレベルに引き上げることに成功したのである。今週は5日間にわたってバーンバックおよびDDBの偉業をご紹介してきました。私は今から10年くらい前に会社の図書室で偶然に「繁栄を確約する広告代理店DDB」という本を見つけて読みました。その本は、かなり深い洞察とリサーチに基づいて書かれていて感動しまくったのですが、その作者である西尾忠久さんが現在ブログをやっておられていて、その中にめちゃめちゃ感動するメッセージがあったので今回、西尾さんに許可を頂いたので扱わせて頂きます。※『創造と環境』西尾忠久さんのDDBに関するブログhttp://d.hatena.ne.jp/chuukyuu/西尾忠久さんは1930年生まれで、日本デザインセンターを経て1964年年アド・エンジニアーズ・オブ・トーキョーを設立。TCC(東京コピーライターズクラブ)で殿堂入りもされている偉大なクリエイターです。またDDBに関する書籍を多数執筆されておられて、比ゆではなく私の10万倍くらい知識と見解をお持ちなお方です。私は西尾さんがTCC殿堂の表彰される時のスピーチを現場で聞いておりましたが、信じられないくらいカッコイイ内容で日本にこんなカッコイイ大人がいるんだーって思いました。以下、西尾さんのブログより抜粋。泣けます。『40年前、DDBは、希望の星でした。DDBのように自分の才能を花開かせることができる---と、多くの有為の若者が広告界に入りました。そして、何人かの〔個人〕はクリエイティブの花を咲かせました。しかしそれは、DDBのように組織や環境ではありませんでした。そして、どこからともなく、DDBのようにはいかないという地の声がうなりのように聞こえるようになり、ぼくは背を向けて、別の分野へ去りました。それから30数年たちました。先日、DDBのについて40年前に書いた幾冊かの著書を開いて、自分の過去の文章に躰が震えました。「日本の広告界は、いまこそ、DDBを必要としている」---と、勝手に思いました。それで、ブログを立ち上げて、何人でもいいから、DDBを日本に根づかせる試みをやらないと、広告に携わっている人たちの自尊心が満足できまい、とおもったのです。ささやかな、老骨の抵抗です。』以上、個人的には大変こころを打たれる内容だと感じました。広告界が本当に発展するには、突出した個人が出現することやクレイジーな表現が出てくることでなく、消費者・クライアント・広告マンの3者が幸せになる「システム」の構築が重要であるということを西尾さんのメッセージを見て感じました。バーンバックは、コピーやプランを自分では書かなかったらしいですが彼にとっての作品は「創造的な人間の集団」そのものだったと思います。DDBは当時クリエイターにとってパラダイスであったが、バーンバックがつくったのは、ただ好き勝手に広告をつくる自由な集団などではなく、クライアントのことを徹底的に真剣に考えた上で発揮する「訓練されたクリエイティビティ」を磨きあげる集団であったと思う。バーンバックの逸話で、常に「相手が正しいかもしれない」と書かれたカードを持ち歩いていた、という話があるがこれだけの人物を持ってしても「相手のことを考える」ことは人間にとって難しいものなのであろう。私自身も気をつけていきたい。最後にバーンバック語録の中で個人的に特に好きなものを3つご紹介します。◆魔法は商品の中にあるのです。◆きわ立つように広告をつくる。 しかもその特異点は製品利便から出てくるべきものである。◆人を動かす気持ち、人の行動を支配する感覚。 何が本当の動機かを時にはカモフラージュすることもありますが、 効果的なクリエイティブ哲学のコアにあるものは 人のインサイトほどパワフルなものは無い。なお本日は金曜ですが、バーンバックの最終回をまる一日はトップにもっていきたいことと、明日は会社に出ることになったため、土日分は明日の土曜に投稿します。
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