2008年6月13日金曜日

バイラルCM⑤海外事例3

バイラルCM特集、最終日の本日は
「とんがった」バイラルCM事例です。
まずは、合計4本の事例をご覧いただけますか。

事例①川にダイナマイトを放り込んで出来た波で
   サーフィンをする若者たち。
  [広告主:サーフィンブランド]



事例②駅構内のかなり長いエスカレーターの上から
   スキー板を履いて滑り降りる男。
  [広告主:スキーブランド]



事例③エアフォースワン(アメリカ大統領・専用旅客機)に
   スプレーでイタズラ書きをする。
  [広告主:ストリート系ファッション]
   ※このバイラルCMはかなり長いです。



事例④スーパーで買い物カゴに様々な商品を投げ入れる
   お客さんたち。
  [広告主:?]



これらのバイラルCM事例に共通する点の一つとして
どれもとんがっていて「クール」かつ「アンダーグランド」な
印象の表現であることが挙げられると思います。

もちろん上記の事例は「広告主自体」がとんがってますし、
これらの表現トーンが、あらゆる業種の広告主に
適用するのはムリがあるとは思いますが、
しかし昨今の若者は、昔と違ってインターネットの影響なのか、
とんがっている人の数が増えている様に感じます。

マス媒体で広告表現を制作する場合は、
かなりいろいろな層の人たちが見ることを想定しているので
受け手の広告読解能力を「かなり低く見積もって」
制作される場合が多いです。

広告制作の現場において、
「この表現、私は意味がわかるけど受け手はわからないでしょ」
みたいな会話は結構多くて、とんがり度をそぎ落とし過ぎた結果
誰の心も動かしえない表現になることも多々あります。

また、これまでのマス媒体での広告表現は、
どうしても上から物を申すような、どこかいばった表現に
なりやすかったと思いますが、バイラルCMにおいては
受け手の感受性をリスペクトした抑制の効いた表現の方が
イイ気がします。

「どうだお前ら面白いだろ、笑えー!」みたいな
「笑わせる」という上に立つ様な「支配的な広告話法」でなく、
むしろ道化に徹して「笑われる」ような
「ホスピタリティ精神」が溢れる広告話法の方がイイ感じがします。

もちろん何でもかんでもとんがれば良いわけではありませんが
現状は、とんがるべき状況でとんがらないケースの方が
圧倒的に多いと思います。

トイレタリー(日用雑貨)という、かなりとんがりにくいと
言われている業種の中でも「P&G」などは近年、世界的に
そして日本市場でも表現を研ぎ澄まし始めた様に感じます。

デビッドオグルビーの名言で
「消費者はバカではない。だってあなたの奥さんも消費者だから。」
というのがありますが現在その傾向は、
さらに顕著になってきたと思います。

「バイラルCM」は、表現が過激すぎて「ブランド」を
破壊しかねない問題もありますが、慎重にコントロールしながら
活用していけばマーケティングにおける大きな武器になると思います。

インターネットは「個人」を「エンパワー」して
「あらゆる関係性」を「対等にする」という強烈な力学を
もったメディアであると思われますので、
インターネットを活用した広告を行う際は、
いばってはいけないどころか、過剰に謙虚になるくらいの方が
健全なコミュニケーションが成立しやすい気がします。

マスコミュニケーションでは情報発信側の方がどうしても
「上にたちやすい」と思いますが、
バイラルCMは、その意味で広がるかどうかの「イニシアチブ」が
受け手である「個人の側」にあり、「対等で健全」な
リレーションシップをつくりあげていくために
とても重要なメディア手法になりえる気がします。


※同じ会社の丸原くんが本日の「事例④」に関しての詳細を
 教えてくれたのでコピペいたします。
スーパーで物を投げ入れるCM、
スポンサーはヨーロッパでいち早く
フェアトレード(公正な貿易)のラベルを
普及させた団体「マックスハベラー」です。

フランス語のコピーでは、
命令形でこう言ってます。
「あなたたちの買物の仕方を本当に変えるために、
 フェアトレードのお店に立ち寄りなさい!」

フェアトレードといえば、
これまで「やさしさ」アプローチ、
あるいは「搾取をやめろ」アプローチが
ほとんだったのですが、
「お前らの買い物、狂ってるぞ!」
と挑戦的な表現で言い切るこのCMは驚きでした。

ある程度立場のある
ソーシャル系の団体が
こういった乱暴な表現を採用している
というところをみると、
海外はバイラルの効果に対する認識が
かなり高まっているんでしょうね。

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