今週は5日間「バイラルCM」に関する事例を
取り上げていきたいと思っております。
「バイラル」は近年、かなり注目されている広告手法でありますが
細かい説明はネットで検索して頂ければ大量にヒットしますので、
ご存じでない方はそちらを見ていただいて、
まずはキャッチーな事例から取り上げさせていただきます。
「バイラルCM特集」と書いておきながら
いきなり「CM」の事例ではなくて申し訳ございませんが
「バイラル」的な「情報拡散」により
ムーブメントになったユニークな事例です。
今から約5年前の2003年9月に発売された
ナゾのCD「離婚(わかれ)た女房が店に来た日」の
イベント型プロモーション事例。
実施場所は、東急東横線の「学芸大学駅」周辺のビルの屋上で
「魚のオブジェ」が付いたヘルメットをかぶり
「赤いマント」をはおった男がギターを弾きながら
東横線の乗客たちに向かってアピール。
【学芸大学「サカナ男」※東横線の車内から見た写真】

男性の名前はkeybow(キーボー)こと伊藤清光氏。
このビル屋上でのパフォーマンスは、東横線の乗客である
女子高生たちから「あれ何?」的に口コミで爆発的に広がり
これがラジオなどでも取り上げられ大ブレイク。
「写メール」や「ブログ」も「バイラル的情報拡散」に寄与。
私自身は朝のワイドショーで2回ほどこの事例が紹介されているのを
見て知りました。
その後、彼は様々なメディアに登場し「日本クラウン」から
メジャーデビュー。
デビューシングルはなんと「オリコン10位」を獲得。学芸大学の屋上で歌を歌うというプロモーション“だけ”で
これだけの結果が出たのです。

この事例は「バイラル」というよりも「口コミ」の持つパワーを
しらしめる事例であります。広告業界では以前から「口コミ」や
「PR」のパワーはわかっていたものの、なかなか効果が数字で
検証できなかったためビジネス的な優先順位は低かったと思います。
「バイラル」も根っこは「口コミ」と同じ部分が多々あると思いますが、
しかし近年「インターネット」の爆発的な進化および普及により
「バイラルの広がり」を「数字」などで「可視化」できる様に
なってきたためビジネス手法としての有効性が見えて来たと思います。
またこの事例には、もう一つポイントがある気がします。
この楽曲は「オリコンで10位」を獲得したにもかかわらず、
おそらくこの事例のことをご存じない方は結構多い気がします。
これまでのマス型の誰もが知るキャンペーンによるヒットだけでなく
一部の人間が「支持基盤」になって、その人たち自身が自主的に
ある特定のタイプの人たちに情報を伝播していくという
セグメントされた市場での「ブーム」や「ムーブメント」が
以前にも増して出現している様に思います。
今後も「みんなが知らないブーム」はより増えていく気がします。
今後「マーケティング」に関しても、市場をざっくりと
大雑把に見るのではなく、クラスター(ある属性別のターゲット)を
しっかり見極めていくことが重要になっていくと思います。
明日は、日本における初のバイラルエージェンシーである
「ロカリサーチ」さんの事例です。
【おまけ】
キーボーさんの活動10周年を記念した映像がYouTubeに
アップされてたのでご覧下さい。
(こちらの事例は若干イタイ映像であり視聴数も少ないので、
ぜんぶ見て頂く必要は無いと思います)